パンツだって立派な資源!「パタゴニア」に学ぶ持続可能な企業のカタチ

Patagonia Logo: Creative Commons. All Rights Reserved. Photo by riowight

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米カリフォルニア生まれのパタゴニア(Patagonia)は、いまや押しも押されもせぬ世界のアパレルメーカーだ。アウトドア用の衣料品・サーフィン用品・バッグ・靴など、丈夫でシンプルながら、機能性だけでなくファッション性も考慮した製品の数々は、アウトドア志向の人々に長年愛されている。しかし、パタゴニアのこれまでの足跡は単なるアパレルメーカーの域にとどまらない。1957年に創業して以来50年以上にわたる彼らの歴史は、”地球環境と企業活動の永続的な共存”という大いなる挑戦の歴史でもある。

最高の製品を作り、環境に与える不必要な悪影響を最小限に抑える。そして、ビジネスを手段として環境危機に警鐘を鳴らし、解決に向けて実行する

これがパタゴニアのミッションステートメントだ。創業者のイヴォン・シュイナード(Yvon Chouinard)は、「企業が永続的に活動するためには地球環境との共存が何よりも必要であり、企業はこの実現のために積極的に役割を果たしていくべきだ」との信念からこのミッションステートメントを定め、これを礎としてパタゴニアを発展させてきた。

パタゴニアは早くから環境負荷の低い製品づくりに取り組んできた企業として知られる。「パンツだって立派な資源だ!」と訴え、不用となった下着を再生素材として蘇らせようと奔走する若者をコミカルに描いたこの動画が、彼らのコンセプトをよく表している。

具体的な取り組みとしては、2005年9月から実施されている「つなげる糸リサイクルプログラム(Common Threads Garment Recycling Program)」が挙げられる。着古した製品を回収し原材料に再生するという回収プログラムで、「ゆりかごからゆりかごまでCradle-to-Cradle)」を実践した例のひとつといえよう。また、製品におけるバリューチェーン全体の環境負荷を可視化するため、独自の評価プログラム「フットプリント・クロニクル(Footprint Chronicles)」を策定。評価結果は環境負荷の低い製品づくりに活かされているのみならず、ウェブサイトで公開し、消費者が製品を選択する際の情報としても利用できるようになっている。

パタゴニアによる地球環境との共存への取り組みは、製品づくりを通じたものにとどまらない。1985年から毎年、売上の1%に相当する金額を環境保護団体に寄付する活動を行っている。これまでに総額3,300万米ドル(約32億円)を1,000以上のNGO・NPOに提供し、世界の環境保護活動を資金面でサポートしてきたのだ。また、「1% for the Planet」の立ち上げにも参画し、環境保護に対して積極的に責任を果たそうとする企業間のネットワーキング促進にも一役買っている。

イヴォン・シュイナードは著書「社員をサーフィンに行かせよう(let my people go surfing)」の中でこう述べている。

正しい行いを選択するたびに、結果的には利益の増大に結びついた。おかげで、自分たちは正しい方向に進んでいるのだという私の確信は強まった。

パタゴニアは、創業以来一環して「企業活動と地球環境の共存」に向けて取り組み、製品づくりを通して消費者に、寄付活動を通じて社会全体に、環境保護の大切さを訴え、その結果として収益を得、さらなる製品づくりや寄付活動につなげてきた。彼らの取り組みは持続可能なビジネスの先駆的な例としてのみならず、消費者や社会を巻き込む社会貢献活動としても優れた一例といえよう。今後もパタゴニアのさらなる挑戦にご注目だ。

創業者イヴォン シュイナード著「社員をサーフィンに行かせよう―パタゴニア創業者の経営論」を読んでみよう。