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COP15サイクリングツアーがキックオフ!877台の自転車が渋谷を駆け抜ける

自転車に乗って会場に登場したデンマークのフランツ=ミカエル・スキョル・メルビン大使

自転車に乗って会場に登場したデンマークのフランツ=ミカエル・スキョル・メルビン大使

今年12月にデンマークのコペンハーゲンで開催されるCOP15は、「ポスト京都議定書」の行方を占う重要な会議。これに先立ち、京都議定書のホスト国である日本でCOP15への関心を高めようと、デンマーク大使自らが自転車に乗って日本各都市を走るバイシクルライド「COP15サイクリングツアー」が23日の東京ステージを皮切りにスタートした。

このイベントについては先日greenz.jp内で紹介したが、温室効果ガスの削減をテーマとしたマスライド(集団走行)なんて面白そう!ということで、東京ステージにいざ参加。

当日、参加者は都内の足立区役所を除く各区役所に設けられた受付でエントリーを済ませ、自転車で神宮外苑絵画館前広場の会場を目指して走る。参加者数は事前エントリーが1024人、参加実数が877人(主催者発表による)とのこと。筆者は朝10時過ぎに世田谷区役所前を出発、数キロほどを走って11時前に会場に到着したが、すでに多くの参加者で賑わっていた。

greenz/グリーンズ COP15サイクリングツアー
100kgまで荷物を載せられる、ユニークな自転車。デンマークではメッセンジャーがこれを使う

会場で目を引くのは、移動手段としての自転車利用率が国民の18%にも達するという自転車先進国・デンマークで使われているユニークな自転車たち。中でも、100kgの荷物を運べるメッセンジャー向け自転車や子供乗せ用3輪自転車などは、自転車交通のプライオリティが確立されたヨーロッパならではのものだ。この他にも「チーム・マイナス6%」や各区役所による温暖化やエコに対する取り組みなどもブースを設けて紹介されており、参加者はCOP15やCO2削減などに対する関心や知識を高めることができるようになっている。

COP15サイクリングツアー
3輪タイプの子供乗せ対応自転車。これなら転倒の心配がすくない

ところでサイクリングで空いた参加者のおなかを満たしたのは、はるばるデンマーク本国からやってきたホットドッグスタンド。トッピングされたフライドオニオンが香ばしいホッドドッグは大人気で、スタンド前には参加者の長蛇の列が。売り上げは中国国内受刑者の子供をサポートするチャリティープログラムに寄付されるという。

COP15サイクリングツアー
メルビン大使、渋谷の街をデモラン中!

注目のフランツ=ミカエル・スキョル・メルビン デンマーク大使は午後1時頃に神宮外苑絵画館前広場の会場に登場。朝から都内各所を30kmほど走ったという大使は、午後2時、参加者とともに渋谷区役所までを往復するデモランへ出発。道交法に従って車道左端を並んで整然と走る。「COP15サイクリングツアー」のオリジナルTシャツを着て走る参加者の車列は、道行く人々の目にとまった事だろう。混雑する渋谷の繁華街では渋滞に見舞われたものの、無事に完走を果たした。

COP15サイクリングツアー
愛用のシティサイクルで参加した佐藤亜紀さん

参加者に感想を聞いてみると、港区の有栖川公園から走ってきた佐藤亜紀さんは「COP15について知ろう、といきなり言われても身構えてしまうけれども、楽しめるイベントとして提案してもらえると無理なく考えられそう。これからはCO2削減のためにも、自転車に乗る機会が増えるかもしれません」と話してくれた。

京都議定書が定める温室効果ガスの削減期間は、2012年まで。COP15は、2013年以降の地球温暖化対策の具体化をめざして各国が議論する。そんな中、日本の温室効果ガス排出量は1990年と比較して8%近く増加し、2012年までの目標である「1990年比で-6%」の達成さえ危うい状況だ。

さらにこれに輪をかける形で、日本経団連は5月12日に「2020年までにおける温室効果ガス削減の中期目標については、1990年比4%増が望ましい」との意見を発表した。これに斉藤鉄夫環境相は「4%増では世界の笑い者になる」と反論したが、至極もっともな意見だ。そもそも国をあげて「チーム・マイナス6%」のキャンペーンを展開しているのに「プラス4%でいい」というのでは温暖化対策に冷や水を浴びせることにしかならない。

さて、このことをメルビン大使はどう思っているのか。ズバリ本人にきいてみた。

論外(笑)。日本は世界でもトップクラスの環境技術を持っているのだから、温暖化対策についてもとにかく野心的に目標を立てて行動して欲しいですね

日本は温室効果ガス削減において大きな役割を果たすことが出来る、と世界から期待されている。だからこそ大使は文字通りカラダを張って日本各地を自転車で駆け抜けて、COP15に対する意識を高めるための努力を惜しまない。

もっとも、大使自身は使命感というよりも、自転車に乗ることを心から楽しんでいるようだ。会場ではスマイルを欠かさず、ホスピタリティをもって参加者との交流を楽しんでいたメルビン大使から私たちが学べるのは「温室効果ガスは楽しみながら減らせる!」ということ。

自転車通勤は満員電車のストレスから解放されるというそれだけで楽しいし、週末のお出かけもマイカーでのドライブをやめてサイクリングにすればいろいろな発見が楽しめそうだ。「楽しそうな未来を選び取る」ことが、自分にも地球にもハッピーな結果をもたらすに違いない。そんなことを感じた「COP15サイクリングツアー」だった。

COP15サイクリングツアー
渋谷C.C.Lemonホール前で大使と一緒に記念撮影

なお、ツアーは5月31日に京都を走った後、6月14日にデンマークの首都・コペンハーゲンへ。デンマークのサイクリング記念日「グレートサイクルデー」に合流して全日程を終了する。

デンマーク大使が撮ったCOP15サイクリングツアーの画像をみよう