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World Digital Library で世界中の図書館の本棚をのぞいてみよう

World Digital Library

World Digital Library

4月21日、世界規模のデジタル図書館が開設した。図書館だから、もちろん誰でも無料で利用できる。

ワクワク感満載のこのデジタル図書館World Digital Library (WDL) の仕掛け人は、識字率の向上や義務教育の普及、多様な文化の保護や異文化間コミュニケーション促進などをミッションに掲げて活動しているUNESCO。加盟国の歴史的・文化的記録遺産をインターネット上で提供し、知識や情報の自由なアクセスを目指す。

UNESCOの呼びかけに応じてコンテンツを提供しているのは、アメリカ議会図書館、エジプトの新アレクサンドリア図書館、日本の国立国会図書館など世界中の33機関。開設から約一カ月を経て、書籍、手稿、地図、写真、動画、意匠図、その他の一次資料など、20カ国以上の図書館に所蔵されている約1200点のコンテンツがそろった。その数は、今後もどんどん増える見込みだ。

できるだけ多くの人が利用できるように、英語以外にも、国連の公用語であるアラビア語、中国語、英語、フランス語、ロシア語、スペイン語、そしてポルトガル語のインターフェースがある。すぐにとはいかないものの、使用言語も増えていきそうだ。

資料の検索はかんたん。
まず、一番てっとり早い方法は、キーワード検索。でも、少し遠回りしてみると、図書館の本棚から思いがけず特別な1冊を見つけるときのような、うれしい出会いがあるかもしれない。

トップページの上方から、地域(Place)、年代(Time)、テーマ(Topic)、資料の種類(Type of Item)または機関(Institution)をクリックして、一覧にアクセスしてみよう。その一覧から該当するカテゴリを選んでクリックすると、さらに細かいカテゴリ一覧が現れる。いろんな資料のタイトルが並ぶ。

ためしに、西暦500年から1499年までの日本の書籍を探してみた。ヒットしたのは、源氏物語(アメリカ議会図書館所蔵本)と小倉百人一首(国立国会図書館所蔵本)。小倉百人一首は、1680年刊行の年季の入った絵本で、各ページに歌と歌人の肖像が描かれている。表紙と裏表紙を含む全てのページの鮮明なイメージが閲覧できて、ビックリ。

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小倉百人一首の紹介ページ。画像下の「Open」をクリックすると、全ページのデジタルイメージが閲覧できる画面に移る。

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小倉百人一首のデジタルイメージ画面は、とても鮮明で詳細までくっきり見える。

気の向くままに検索していると、次々と歴史的文献が出てきて、時間を忘れてしまう。

たとえば、アメリカ合衆国第3代大統領トーマス・ジェファーソンが1774年に発表した A summary view of the rights of British America。これは、英国議会は植民地に対し権限を持たぬことを表明した文書だ。この文書が発表された2年後に、トーマス・ジェファーソンはアメリカ独立宣言を起草した。そう考えると、なんだかゾクゾクしませんか?ちなみに、この資料は、キュレーターのコメント動画付き

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トーマス・ジェファーソンのA summary view of the rights of British Americaのデジタル画像

ざっと検索してみて、歴史的記録が多いな、という印象を持った。この図書館の目的の一つが、歴史的記録遺産の保全を目的とする世界の記憶プログラムとの連携であることをふまえると、当たり前かもしれない。でも、歴史を知ることはもちろん大切だけど、自国や他国の「いま」を知り、「これから」を考えることも大切だと思う。そういう視点で改めて所蔵物一覧を見ると、近年の資料の数が少ないのが気になってくる。環境問題に関する資料も見当たらない。

WDLは、重要な歴史的・文化的コンテンツを所蔵する図書館、博物館、アーカイブ、その他の文化施設に参加を呼びかけている。同時に、コンテンツづくりに協力する個人ボランティアを募集している。コンテンツについて提案を思いついた人は、ぜひWDLにコンタクトしてみよう。

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