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米大学生の人気就職先!次世代リーダーと子供が共に育つ「Teach for America」

Classroom in USA: Creative Commons. Some Rights Reserved. Photo by Old Shoe Woman

Classroom in USA: Creative Commons. Some Rights Reserved. Photo by Old Shoe Woman

突然ですが、ちょっとしたクイズを1問出題。

“米国エリート大学に通う学生の30,000人以上が落選しているのは、次のA~Cのうちどれでしょう?“

A:米国法曹界の最高峰「Harvard Law School(ハーバードロースクール)」
B:米国トップ金融グループ「Goldman Sachs(ゴールドマンサックス)」
C:「Teach for America」。

答えはCの「Teach for America」。2009年には4,000人の募集枠に対してYale University(エール大学)、Columbia University(コロンビア大学)、University of Chicago(シカゴ大学)など、米国の一流大学の新卒者を含む総勢35,178人もの学生が応募し、競争率11倍を超える狭き門になったという。

これほど多くのエリート学生を魅了する「Teach for America」の正体とはいかに?

「Teach for America」は、新卒者を、教員免許の有無に関わらず大学卒業から2年間、米国各地の教育環境に恵まれない地域の公立学校に常勤講師として赴任させるプログラムだ。現在、コープメンバー(Corps Members)と呼ばれる教師6,200人が全米29の地域で教鞭をとり、年間40万人もの子供たちに教育を行っている。

このプログラムは、1989年、Princeton University(プリンストン大学)の学生だったウェンディ・コップ(Wendy Kopp)が卒業論文で論じたアイデアから生まれた。以下の動画インタビューで語っているとおり、彼女は、社会経済格差や根深い人種差別ゆえ、米国に長年存在し続ける教育格差に課題を持ち、その解決策として「Teach for America」の仕組みを思いついたという。

コープメンバーによる教育効果は明らかだ。2004年米調査機関「Mathematica Policy Research」が行った調査の結果によると、コープメンバーが担当するクラスの生徒は他のクラスに比べ数学で優秀な成績を修めていた。そして、それよりも有意義なのは、低所得や人種差別に苦しむ子供たちが、若く優秀なコープメンバーから教育を受けることで、学ぶ楽しさを改めて知り、何かを達成することへの喜びを感じていることだ。この経験は、子どもたちが持つ潜在的な才能を開花させ、「やればできる」という自信につながり、彼らの人生に新しい世界を広げている。

新しい世界が広がるのは「Teach for America」のプログラムに参加する新卒者も同じ。教育環境に恵まれない子供たちに教育を行うというユニークな場を与えられた彼らは、それまで遭遇したことのない現実に、時に焦り、時に悩みながら、子供たちと共に育っていく。この一連のプロセスは、教育界でのキャリアで有用であるのはもちろん、ビジネスなどの異分野でも、次世代リーダーに共通して求められるマネジメントやリーダーシップのスキル向上において貴重な経験だ。実際、1990年から運営されているこのプログラムの卒業生は14,000人以上。教育界のみならず、実業界、法曹界、医学界など、様々な分野で活躍している。

もちろん「Teach for America」は米国の教育格差是正に向けた解決策のひとつにすぎない。しかし、既存の「キョウイク(教育)」から一歩踏み出し、次世代リーダーとさらに次の世代を担う子供たちが“共に育つ“という新しい「キョウイク(共育)」の形を示している。彼らのパワーはきっと近い将来、米国が長年悩まされている教育格差という重大な問題を解決する原動力にもなるだろう。

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