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7 years ago - 2009.05.18

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「Twitter」も「Flickr」も「YouTube」も「iTunes」も、すべてを使うオバマ大統領の新戦略

Photo by whitehouse.org

Photo by whitehouse.org

アメリカ政府は、2009年5月1日のWhite Houseの公式ブログで、「WhiteHouse 2.0」という新しい戦略について発表した。「Twitter」「Facebook」「MySpace」にページを新設し、情報発信を開始したのだ。更に、「Flickr」「Vimeo」「YouTube」「iTunes」のアカウントも取得しており、写真や動画、音声コンテンツはこれらを使って公開している。(ページはそれぞれ以下の通り)

どのアカウントページも、私たちが個人で利用しているものと機能的には同じだが、デザインは可能な限りwhitehouse.orgを踏襲したオリジナルデザインになっており、White Houseのアカウントであることが一目で分かるようになっている。

「Twitter」では公式ブログをtwitterfeedで参照しており、「Facebook」と「MySpace」は公式ブログとほぼ同じ内容になっている。内容は同じだが、フォローやコメントが付けられるのが、公式ブログとの最大の違いだろう。今回の「WhiteHouse 2.0」は、豚インフルエンザや経済危機に関する最新情報を、ダイレクトかつスピーディーに国民に届けるのが目的だと言っている。しかし、その後で書いている“我々のファンや友人やフォロワーの声を直接聞きたい”という目的の方が大きいのではないかと思う。

政治や権威ある組織・団体が「開かれた○○○を目指す」なんていう常套句があるが、開かれる側(いわゆる一般ピープル)にしてみれば、その言葉を使われた時点で、見えない壁の存在を意識せずにはいられない。でも、White HouseのTwitterのフォロワーの中に、facebookのファンの中に、My Spaceのフレンドの中に、自分のアイコンがあったとしたら、どんな気分になるだろう?想像するだけでも、White House=オバマ大統領と自分の距離がグっと近づいたような気がする。

「Flickr」、「Vimeo」、「YouTube」、「iTunes」では、それぞれのサービスの特性やイメージに合ったコンテンツがアップロードされていた。

例えば「Flickr」では、公式サイトやメディアでは取り上げられないような、“職務中のオフショット”が絶妙にチョイスされている。思わずプッと笑っちゃうような光景や憎めない表情、写真をスライドショーで見ながら「この人、良い人なんだろうなあ」とぼんやりと思った。“この人”とは、もちろんオバマ大統領のことである。アメリカ合衆国の大統領、世界の大国のトップリーダー、核爆弾のボダンを押す権限のある人、そんなことを忘れさせるような写真が並んでいるのだ。

greenz/グリーンズ obama
Photo by whitehouse.org

写真を眺めて「良い人だなぁ」と思った数秒後に、「でも、職務中も常にこういう顔を撮るためのカメラマンが付きっきりなんだ」と気がついてハッとした。この「WhiteHouse 2.0」は、最先端のオンラインサービスを使った、オバマ大統領のブランド戦略でもあるのだ。

greenz/グリーンズ obama
Photo by whitehouse.org

これらの新しいサービスを使って「情報をダイレクトに公開し、国民の声を直接聞くことでしか、乗り越えられない課題が山積みだ」というのも、もちろん本心ではあるだろう。でもそれ以上に、これらのサービスを効果的に使い、オバマ大統領のブランドバリュー上げることも、目的なのではないかと思った。

企業のブランディングに携わる人の言葉を引用すると

ブランディングとは「特別な感情」を持たれているかどうか

つまり、ブランディングとは、その商品/サービスと生活者との間での「感情」を産み出す作業であり、それが特別なものと受け止めてもらうようにする活動である、ということ。
だからこそ、ブランディングは売上に貢献する企業活動となるのだ。

ホワイトハウスの「Twitter」や「Flickr」を使ってみると、アメリカ国民は言うまでもなく、英語の話せない日本人でさえも、オバマ大統領に「特別な感情」を抱くだろうなと思った。「商品/サービス」→「政府/大統領」に、「売上」→「支持率」に置き換えてみると、「WhiteHouse 2.0」がブランディングだと思わずにはいられない。

アメリカ政府は、オバマ大統領就任直後からブログや動画を有効に使い、コンテンツにCC(クリエイティブコモンズ)を導入し、革新的な取り組みをしてきた。「WhiteHouse 2.0」もその延長線上で、そういった新しい技術やサービスを積極的に取り入れること、国民と直接コミュニケーションを取ろうとする姿勢、その場で公開するコンテンツの内容、すべてをブランディングとして生かそうとしている。

インターネットやオンラインサービスの特性を十分に理解し、最大限に利用しているアメリカ政府を見ていると、翻って日本は?と考えた時に、その途方も無い距離を感じて愕然とした。日本に居ながらアメリカ政府の情報を逐一入手できる私たちは、どうやったらこのギャップを埋めることができるのだろう?

writer ライターリスト

的野 裕子

的野裕子(Yuko MATONO)。福岡生まれ。大学入学をきっかけに東京に住み、数年前に福岡に戻る。サイトデザイン、コンテンツプランニング、サイトマネージメントなど、WEBサイトに関わる仕事を生業にしてきた。理に適っているデザインが好き。ユーモアのあるデザインも好き。そういう心あるデザインの良さをもっと人に伝えていきたくて、次第にWEBサイトで文章を書き、情報を配信することが中心となる。2006年にアシュタンガヨガを始めてからは、生活のあらゆる場面でのチョイスが、シンプルで無理と無駄のないものとなってきた。荷物は軽く、心も軽く、ヨガを通じて旅を続ける毎日。

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