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7 years ago - 2009.04.23

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グリーン・ニューディールは“その”庭から?オバマ大統領を動かしたVictory Garden(勝利の庭)運動

Creative Commons, Some Rights Reserved, Photo by Eat the View!

Creative Commons, Some Rights Reserved, Photo by Eat the View!

Victory Garden。直訳すれば“勝利の庭”。このたび、ホワイトハウスにも造られることが決まったその庭の正体は、家庭菜園

なぜそんな大袈裟な名前が……と首をかしげているあなたのために、少し歴史をさかのぼってみよう。

数々の戦争を経験してきたアメリカでは、第一次世界大戦中から、国をあげて家庭菜園づくりが進められた。戦時中、家庭菜園づくりは、まさに勝利のための庭づくりだったのだ。1943年には、ルーズベルト大統領夫人がホワイトハウスに大規模な家庭菜園を造り、多くのアメリカ人がインスパイアされて家庭菜園づくりにいそしんだ。第二次世界大戦中、国内で消費された野菜の4割が家庭菜園から生産されていたこともあるという驚きの事実も。しかしその後、アメリカの景気が良くなると、ホワイトハウスからも、家庭からも、家庭菜園の姿は消えていった。

そんな悲話をもつVictory Gardenが、またブームになりそうな予感。火つけ役は、“Eat the View” というサイトを運営しているRoger Doiron氏

グローバル規模で家庭菜園づくりを推進するNPO法人、Kitchen Gardeners Internationalの創立者でもある彼は、昨年6月からこのサイトで、ある著名運動を始めた。グリーンエコノミーを唄うオバマ大統領に、ホワイトハウスでのVictory Gardenの復活を呼びかける著名運動だった。

14ヶ月間で、100,000人分の著名が集まった。

そして今年3月20日、その著名運動は成功をおさめた!
オバマ大統領夫人が正式に、ホワイトハウスの庭園の一部を菜園にすると発表したのだ。その大きさは、1,100平方フィート東京ディズニーランドの約4分の1の大きさだ。そこで育てられるのは、ホワイトハウスのシェフが希望した野菜55種類、果物とハーブ数種類、そして蜂の巣2つ。もちろん、すべてが有機農業

今回の菜園づくりに積極的なオバマ大統領夫人の口からは、「フレッシュな野菜」や「バランスのよい食事」という言葉が多く出てくる。O Magazine誌4月号のインタビューでも、

健康について、すばらしく美味しい新鮮な食材について、そして新鮮な食材を取り入れたバランスの良い食事について、メッセージを発信していきたいわ。ご存知かしら、庭で育てたトマトって、店で買うトマトとはぜんぜん味が違うのよ。

と話している。

肥満率が20%を超す国の大統領夫人である彼女にとっては、肥満に勝つためのVictory Gardenであるようだ。

Eat the Viewはそもそも、環境問題からスタートした署名運動だった。
活動PRビデオも、

アメリカにおいて、食べ物は平均1500マイル(約800km)を経て農地(field)から食卓(fork)にたどり着く。
温室効果ガスの3分の1は食べ物や農業から排出されている。

というメッセージから始まる。

でも、オバマ大統領夫人の言葉が気付かせてくれるように、私たちが家庭菜園づくりをとおして気づいたり学んだり正したりすることは、環境のことに限らない。


Climate Mattersビデオコンペにも入賞した活動PRビデオ。キャンぺーナーであるDoiron氏が、ごく普通の芝生の庭を家庭菜園に変えていった様子も紹介されていて楽しい。

そして忘れるなかれ、今のご時世にあっては特にありがたい経済効果も。
Doiron氏が今年3月にシカゴ・トリビューン誌で発表した記事によると、Doiron夫妻が1シーズンに収穫した有機野菜や果物の量は、なんと約2200ドル(約22万円)相当

菜園づくりは確かに時間がかかるし、ときには重労働も伴う。でも、人生において価値あるもので、時間や重労働を伴わないものなんてあるのかな

そんなDoiron氏の問いかけに、賃貸アパートの住民である私も、家庭菜園にチャレンジしたくなってきた。

writer ライターリスト

熊谷 桃子

熊谷桃子(Momoko KUMAGAI)。子供の頃の夢は獣医になること。その夢の実現を目指して15歳でオーストラリアに単身留学。大学入学後、自分は理系ではない、と悟る。同時に、環境・社会問題に興味があることに気づき、環境生態学を学ぶ。卒業後帰国し、国連大学インターン、国際協力NPO職員、環境・CSR経営コンサルタントなどを経験。2006年末、チェコ共和国の世界遺産都市チェスキー・クルムロフを訪れ、その美しい街に恋に落ちる。帰国直後に見つけたチェコ共和国大使館の奨学金に応募・合格し、2007年10月よりチェコ共和国カレル大学に留学。チェスキー・クルムロフにおけるコミュニティ発展および欧米におけるコミュニティ・スクール活動について学ぶ。現在に至る。帰国後は、『地域』を『コミュニティ』に変える組織の設立を目指す。人生の目的は、自分の強みを活かして社会に貢献すること。

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