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7 years ago - 2009.04.20

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デザインよ届け!“その他90%”の人たちの元へ

greenz/グリーンズ Design for the Other 90%

デザインの本来の意味は、何かをカッコよくしたり、カワイクしたり、見た目を飾り立てるようなことでは無い。建築やプロダクトデザインを考えると分かりやすいが、何か困った問題がある場合に、それを解決するためにアイデアを形にすることである。

世界の総人口65億人のうち、その90%の58億人は、私たちが当たり前のように使っている、ほとんどの製品やサービスを使うことができない状況にある。つまり、デザインの恩恵に与れていないということだ。

Design for the Other 90%」は、デザインの恩恵に与れていない“その他90%”の人たちのために、ローコストで問題解決するデザインを推進しているプロジェクトである。発展途上国や貧困にあえぐ人々が、自立しながらチャレンジでき、“ローカルとグローバル”“個人と組織”どちらも両立できるユニークな問題解決方法を探している。

貧困から抜け出すには、一方的にお金や物を与えてもダメで、貧困に悩む人々が、自ら所得を生み出せるような仕組みやプロダクトを、デザインしなければならない。エコノミストやデザイナーは当事者たちと共同作業をしながら、現実的でズバッと問題を解決するような、素晴らしいデザインを生み出してきた。

そんな“その他90%”のためのデザインの数々を紹介するため、2007年には「Design for the Other 90%」展が、ニューヨークのクーパー・ヒューイット国立デザイン博物館で開催された。展覧会は、その後アメリカ各地やカナダを巡回しており、現在はWEBサイトでもデザインを見ることができる。その中からいくつかのをご紹介しよう。

Q Drum

アフリカでは何百万人もの人々が、キレイな水を入手するために何キロも離れたところに水を汲みに行かなければならない。そこで、一度に大量の水を、安全かつ簡単に運べるようデザインされたのがQ Drum。タイヤのように真ん中に穴の空いたコンテナは、穴の部分にヒモを通して引っ張れば、75リットルの水もコロコロと転がしながら運ぶことができる。

Katrina Furniture Project

greenz/グリーンズ Katrina Furniture Project
Photo by Design for the Other 90%

Katrina Furniture Projectは、ハリケーンカトリーナに被災した地元の人々の経済的・社会的復興を目的に、ハリケーン被害にあった建物の破片などを使って家具を作る工房を作ったことから始まった。リサイクル木材から作られたベンチやテーブルは90以上の教会に売られ、被災した人々が生活を建て直すきっかけとなった。更に、Art Center College of Designの学生や先生などが「You Orleans」という、Katrina Furniture Projectブランドを確立するためのシステムも開発し、家具のデザインやパッケージなどの独自性も確立している。

One Laptop per Child

greenz/グリーンズ One Laptop per Child
Creative Commons. Some Rights Reserved. Photo by One Laptop per Child

発展途上国の子どもたちに、教育・情報・コミュニケーションの機会を与えるために「100$ラップトップ」が開発された。このパソコンは、ソフトウェアやネットワーク、コンテンツなどが、子どもたちに使いやすいように、独自のものが開発されている。これを持ち歩けばどこでも学校になるように、耐久性は高く、消費電力は低いという優れもの。見た目も子ども向けでカワイイ。


Creative Commons. Some Rights Reserved. Photo by One Laptop per Child

日々デザインしたものに囲まれている私たちは、なかなかその素晴らしさや有り難みに気付かないことが多い。何も、デザイナーでなければデザインができないということは無い。自分の生活や、サスティナブルな社会のために、何かいいアイデアがひらめいたら、それを少しでもかたちにできるよう、自分にできるアクションを起こしてみる。その小さなアクションの積み重ねから、新たなグッドデザインが生まれて、“その他90%”の人たちの人生が変わるかもしれないのだから。

writer ライターリスト

的野 裕子

的野裕子(Yuko MATONO)。福岡生まれ。大学入学をきっかけに東京に住み、数年前に福岡に戻る。サイトデザイン、コンテンツプランニング、サイトマネージメントなど、WEBサイトに関わる仕事を生業にしてきた。理に適っているデザインが好き。ユーモアのあるデザインも好き。そういう心あるデザインの良さをもっと人に伝えていきたくて、次第にWEBサイトで文章を書き、情報を配信することが中心となる。2006年にアシュタンガヨガを始めてからは、生活のあらゆる場面でのチョイスが、シンプルで無理と無駄のないものとなってきた。荷物は軽く、心も軽く、ヨガを通じて旅を続ける毎日。

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