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7 years ago - 2009.04.08

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銀座のミツバチとご対面。銀座で感じる生命の温もり

NPO法人銀座ミツバチプロジェクトのウェブサイト

NPO法人銀座ミツバチプロジェクトのウェブサイト

銀座ミツバチがすごいらしい。一月ほど前に銀座ミツバチプロジェクトの田中さんの講演を聞く機会があった。プロジェクト立ち上げの経緯、銀座屋上養蜂の実態、ミツバチの生態、ミツバチを受け入れた銀座の街の歴史など、非常に面白い話が盛り沢山。物語の主人公・銀パチ(銀座ミツバチの通称)に会うしかない、と思って銀座に行ってきました。

greenz/グリーンズ 紙パルプ会館ビル外観

到着したのが、銀座三丁目にあるビル。田中さんが役員を務める紙パルプ会館のビルだ。このビルの屋上に銀パチたちが住んでいる。屋上から見える風景はこのような感じ。こんなところでミツバチが生きていけるのだから実に驚きだ。

greenz/グリーンズ 紙パルプ会館ビル屋上

屋上の一角に三つの巣箱がひっそりと並んでいる。それぞれに異なるミツバチの群れが住んでいる。

greenz/グリーンズ 銀パチ巣箱

巣箱の蓋と後ろに見える絵柄は、左からツバルソロモン諸島キリバスの国旗。ミツバチは巣の周囲の状況を映像として完璧に記憶して、その記憶を頼りに巣へと帰ってくる。国旗の絵柄で、ミツバチが巣を見分ける目印を付けたという訳だ。「都市と自然の共生」をうたう銀座ミツバチプロジェクト。海抜が低く温暖化の脅威に晒されているこれらの国のことを応援する意味も込めている。今回は、銀座三丁目屋上に浮かぶソロモン諸島に住むミツバチの巣箱を覗かせていただいた。

greenz/グリーンズ 銀パチ巣枠

巣箱の中から巣枠を取り出す田中さん。巣枠にはミツバチがぎっしり。ソロモン諸島の巣箱には七枚の巣枠が入っている。

greenz/グリーンズ 銀パチ

ミツバチは触れるととても心地いい。柔らかい手触りの産毛越しに、ミツバチの体温が伝わってくる。羽をふるわせ体温を35度前後に保つのだそうだ。この日は気温が10度前後と春先の寒の戻りに見舞われたが、ミツバチの巣の中には温もりが満ちている。

greenz/グリーンズ 銀パチ蜂蜜

ミツバチがせっせと集めた蜂蜜を一舐めさせていただいた。フローラルの香り広がる新鮮な蜂蜜が、生命のつながりを感じさせてくれる。実は、一匹のミツバチが一生かかって集める蜂蜜は小さじ一杯程度。指先ですくっただけの蜂蜜でも、ミツバチの生命をいただいているということだ。

なお、ミツバチが採蜜するのは、春先から夏場にかけて、花が咲く季節に限られている。その期間で集めた蜜を巣の中に蓄えて、翌年の春の訪れをじっと待っているという訳だ。ちなみに、ミツバチは植物の受粉を手伝う代わりに、花蜜と花粉を頂戴している。花蜜は人間にとってのお米のエネルギー源、花粉は肉や魚のタンパク源となっている。春先とは言えまだ冷え込む日も多い。貴重な食料をお裾分けいただいて、銀パチたちに感謝。

田中さんから、「受粉しない花は、花が根元から落ちてしまう」という話を聞いた。都会のあちこちに根元から落ちる桜の花があるということだ。今はちょうど桜の季節。道すがら桜の花に目を向けても、ミツバチの姿は見当たらない。「この桜も、受粉することなく花びらを落とすのだろうか」と気になって仕方がない。

greenz/グリーンズ 銀パチBeeGarden

銀座には、街中に多くの街路樹がある。そして、少し離れると皇居浜離宮日比谷公園などの緑豊かな大きな公園もある。さらには、銀パチたちに触発されて、銀座の街では屋上緑化、屋上農化が進んでいる。松屋マロニエゲート銀座ブロッサム白鶴酒造東京支社など。紙パルプ会館のバルコニーめいたところにも、”Bee Garden”なる花畑が作られている。

ミツバチは植物から花粉と花蜜という恵みをもらい、植物はミツバチのおかげで受粉し実をつける。そして、人間が蜂蜜と果実という恵みをいただく。大都会・銀座の屋上で、こうした生命のつながり、温もりを感じることができるとは、実に素晴らしい。小さな銀パチがもたらしてくれるものはとてつもなく大きい。

お知らせ:『銀座ミツバチ物語』発売!

greenz/グリーンズ 銀座ミツバチ物語

今回お伺いした、田中淳夫さんが書かれた本『銀座ミツバチ物語―美味しい景観づくりのススメ』が3月28日(ミツバチの日!)に、発売されました。明治時代から昭和、平成へと時代の荒波にもまれながら、日本の中枢地として役割を果たしてきた、銀座という場所で、新たなるつながりを作ろうとしている「銀パチ」の動きを、どうぞご覧くださいませ!

writer ライターリスト

萱原 正嗣

萱原正嗣(かやはら・まさつぐ) フリーライター。主に本づくりやインタビュー記事を手掛ける。制作に携わった主な書籍は、『田舎のパン屋が見つけた「腐る経済」』(渡邉格著、講談社)、『「ほしい未来」は自分の手でつくる』(鈴木菜央著、星海社新書)、『あわいの力』(ミシマ社)など。現在、本づくりでご縁のあった岡山県真庭市勝山で、本屋と出版を始めるべく準備中。 【連載】町の本屋制作ノート(本屋を始めるまでのあれこれを綴っています)

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