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分散型発電に見る新しいエネルギー供給の形

Creative Commons. Some Rights Reserved. Photo by m-louis

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電力は、火力発電所原子力発電所など、大規模な発電所で作られ、家庭やオフィスまで届けられているわけだが、それに代わる新しいエネルギー供給のあり方が、俄かに注目を集めている。

それが、分散型発電だ。

大規模な発電設備を使う現在の仕組みでは、発電の際に発生した莫大な熱をそのまま捨てていたり、送電の際に発生するロスなどで、発電効率が40%程度だとされているし(つまり、発電の際に発生したエネルギーのうち60%程度が失われている)、事故などで発電所が停止したときに電力供給に与える影響が大きい、といったデメリットも指摘されている。

大規模発電が抱えるこうしたデメリットに対応するために考え出されたのが分散型発電、あるいはマイクログリッドと呼ばれる考え方だ。電気や熱を使う場所の近くで発電することで送電ロスを防ぐことが出来るとともに、発電の際に発生した熱を温水などの形で利用しやすくなるといったメリットが期待されている。分散型発電では、大量の電力を生み出す必要性がないため、太陽光発電風力発電燃料電池といった再生可能な自然エネルギーを利用しやすいとも言われている。

greenz/グリーンズ 太陽光と風力発電を備えた家
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太陽光発電装置を風力発電装置を備えたお家。青森県にあるそうです。

そして、Qurrentというオランダの会社が、マイクログリッドを可能にする仕組みを開発中だ。最近では環境ブームもあって、家庭用の太陽光発電や風力発電、燃料電池といった小型の発電装置が少しずつ家庭や事業所に広がり始めている。だが、例えば、太陽光発電と風力発電では電力が発生するタイミングも違うし、家庭やオフィスごとに電力を使うタイミングもまちまちで、家庭やオフィス単体でエネルギーを効率的に使うのはなかなかに難しい。

そこで、こうした発電設備を持つ家庭やオフィスを複数つないで、そのマイクログリッドの中で電力を融通し合うことで、より効率的に電力を使えるようにしよう、という発想で開発に挑んでいるがQurrent社だ。このシステムは、電力事業者の商用電力系統とつなぐことも目指していて、マイクログリッドの中で電力が余れば、電気事業者が運営する電力系統に電力を戻し(売電)、電力が不足すれば電力系統から電力を買うことが可能になるという。

greenz/グリーンズ Qurrent

何だか夢のような話にも聞こえるが、分散型発電にも課題があって、分散型発電が電力系統に多くつながると、電力の制御がとても複雑になるということが挙げられている。分散型発電の電源として期待されている多くが自然エネルギーであるため、安定的に電力を生み出すことが出来ないのがその根本の理由だ。

何なら電力系統から切り離して、小規模の変動する電力でどう生活を成り立たせるかということを実証するようなモデル地区があってもいいのではないかと思う。

電気が常に安定して供給され、使う側はいつでも好きなように使えると考えた方が、生活や社会を成り立たせる上では簡単だけれども、省エネしたところで石油も石炭も天然ガスもウランもいずれはなくなる訳だし、自然エネルギーだけでどうやって生きていけるか、という問題は近い将来現実のものになると思うからだ。

昔の人は、電力もガスもない中で、あるものを使ってどう生きていくか、知恵を使って生きてきた。そして、地球を見渡せば、今もそういう生き方をしている人たちはいる。だとすれば、不安定とはいえ、電力がある中で生きていくのは十分可能なはずだ。

自然エネルギーで大量の電力を安定供給できることを目指して、技術革新に知恵と情熱を使うのもいいけれども、あるものでどうやって生きていくか、生活の仕方や社会の仕組みを変えていくことに知恵と情熱を注ぐ方向性があってもいいのではないかと、文明にどっぷり漬かりながらもひそかに思う。

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