迷える投資家とブラジルを救った「社会貢献取引所」

Creative Commons. Some Rights Reserved. Photo by RoGb77

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「経済的に成功するまではガムシャラに働いて、それから社会貢献をする」多くのビジネスマンと同じように、サンパウロ証券取引所(Bovespa)のCelso Greccoもそんな人生設計を描いていた。46歳のGreccoは、30代で大企業のブランドコーチングをするなど、コンサルタントとしてはかなりの成功を収めていた。しかし、ある日突然、天啓を受けたかのようにGreccoは気が付いた。成功してから社会貢献するのではなく、社会貢献をして成功するのだと。

Greccoは、Bovespaのディレクターに「社会貢献のための取引所を作ろう」と提案した。社会貢献したいと考えている投資家は、どのプロジェクトに資金を提供をすれば本当に意味のある投資ができるのか、判断に迷うことが多い。社会貢献に関するプロジェクトや市民団体について、きちんと事前審査した上で上場する取引所を作れば、投資家がお金をドブに捨てるようなことは無くなるし、資金に困窮している多くの社会貢献や慈善事業が実現することになる。

この提案は、Bovespaの所長の後押しを得ることができ、2003年「社会貢献取引所」としてスタートした。

Greccoと評価者チームは、上場する前にプロジェクトを厳密に審査する。10プロジェクトがあれば、1つが上場できるくらいの割合だ。今までの金融投資市場と違い、社会貢献取引所の取引では、投資家は資金を提供している市民団体のオーナーになったり、プロジェクトの運営方法に口を出したりできない。そこで得られる“配当”は、すばらしく価値のある慈善事業に寄付をしているということだけである。それでも今までに550万ドル以上の資金を、71の団体に提供してきた。

おそらく、投資家だけでなく、時代のニーズにもマッチしていた結果なのだろう。社会貢献取引所は、今や世界中に広まりつつある。

2006年には南アフリカの社会貢献取引所がオープンした。イギリスとドイツは、来年合同で社会貢献取引所を立ち上げる予定だ。他にも、インド、ニュージーランド、ポルトガル、タイで、同様の計画が進行中。ブラジルの社会貢献取引所がプロトタイプとなり、法人の投資(寄付)市場に革命を起こしたのだ。

貧困撲滅を推進している国連グループGlobal Compact代表のGeorg Kell氏は言っている。

ビジネスソリューションは貧困から抜け出す唯一の現実的な方法である

社会貢献取引所は、経済的な貧困から救うだけでなく、ブラジル人の人生も変えてきた。
例えば、最初に上場されたプロジェクトの1つは、小額の訴訟裁判所の設立だった。法学部の学生やソーシャルワーカーが、裁判で不利になりがちなスラム街の住民から寄せられた苦情やトラブルを、ボランティアで調停するというものだ。

また、人に対してだけでなく、地球に優しいプロジェクトもある。

それは、ガスランタンを使っているエビ漁師たちに、太陽光ランプを提供するというプロジェクト。1年に15,000トンものCO2を排出するガスランタンを太陽光ランプに変えると、エネルギーコストを削減するだけでなく、カーボンフットプリントもかなり削減できる。

Celso Greccoという1人のビジネスマンのアイデアが、迷える投資家を助け、ブラジル人の人生を変え、やがて地球環境も救い始めた。これ以上の社会貢献も成功も、なかなか無いだろう。

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