オランダを救うのは鶏のフン!?大規模バイオマス発電所が運転開始!

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オランダでは、年間約120万トンの鶏のフンが発生するという。その大量のフンは、国外での処理を必要とする厄介な「ゴミ」でしかなかった。つい数か月までは。

それが今では、オランダにおいて、鶏のフンは「資源」に逆転!

このパラダイムシフトを生んだのは、9月にMoerdijk(ムールダイク)で運転開始した大規模バイオマス発電所。発電能力は3.65万キロワットで、フンを利用するバイオマス発電所としては、世界最大級だ。年間44万トンの鶏のフンを処理して、約9万世帯分に相当する約2.7億キロワット時の電力量を発電する。

さて、年間発電電力量約2.7億キロワット時というのは、どのくらいの規模だろう?10月に運転開始した鹿児島県の長島風力発電所と比べてみよう。

長島風力発電所は、21基の大型タービンから成る国内最大級の風力発電所。年間発電電力量は、1億キロワット時と想定されている。Moerdijkのバイオマス発電所は、44万トンの鶏のフンで、大型タービン約60基と同じくらいの電力量を発電するということだ。

Moerdijkのバイオマス発電所からのアウトプットは、電気にとどまらない。発電所で処理された鶏のフンは、リンやカリウムなどの栄養分を豊富に含む灰となり、肥料として土に戻る。カーボン・ニュートラルかつゼロ・ウェイストの発電所なのだ。

この大規模バイオマス発電所は、約1.5億ユーロ(約185億円)を投じて建設された。そんな大金をバイオマス発電に費やすなんて、オランダはエネルギー資源に乏しい国なのか?と調べてみたところ、その反対だった。オランダは、EU加盟国の中で2番目の天然ガス生産国であり、大量ではないものの、石油も生産している。

オランダは、再生可能エネルギー技術の導入に積極的だ。資源の枯渇や気候変動などについて、長期的視野を持っているからだ。同国の経済産業省が発表した「エネルギー・リポート2008年版」によると、2020年までに再生可能エネルギーの消費比率を20%まで引き上げるという目標が掲げられている。

Moerdijkのバイオマス発電所を建設した電力会社、DELTA社は、今後も再生可能エネルギーの導入に積極的に取り組んでいく姿勢を示している。政府の目標が、エネルギー業界にも浸透しているということだろう。

日本では、6月に「福田ビジョン」として、2020年までに「ゼロ・エミッション電源」の比率を50%以上に引き上げる、という方針が発表された。でも、この「ゼロ・エミッション電源」には、原子力が含まれている。

5月に資源エネルギー庁が発表した「長期エネルギー需給見通しのポイント」を読んでみると、2030年における再生可能エネルギー(水力・地熱発電を含む)の一次エネルギー供給の目標は、たったの11.1%。太陽光発電の導入には積極的に取り組む姿勢を示しているけど、その他の再生可能エネルギーには、どちらかというと消極的であるように見える。

農林水産省のデータによると、日本では、年間約1300万トンの鶏のフンが発生している。オランダの約10倍の量だ。これに牛と豚のフンを合わせると、約9000万トンもある。そのほとんどはたい肥化されているようだけど、エネルギー資源として見直してもいいのでは、とは思いませんか?