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インタビュー(後編): レオナルド・ディカプリオ制作の映画「THE 11TH HOUR」監督レイラ・コナーズ

松原広美 2008/09/05



写真:石渡史暁

住みたいと思う世界のビジョンを描けば、未来は変えられる

環境ドキュメンタリーThe 11th Hourを通して見えた地球と人類の未来。インタビュー前編では、映画を作ろうと思ったきっかけや、撮影時の印象的なエピソードなどの話を聞いた。後編となる今回は、世界を変えることのできる最後の時(瞬間)、つまり11th Hourである「いま」レイラ自身が心がけていること、そして、私たち一人ひとりにもできることををお伝えしよう。

 ― 近年、地球温暖化をはじめとする環境問題に人々の関心も高まってきて、地球の時計もまさに11th Hourを指していて待ったなしの状態だと思いますが、いまの世界をどう見ていますか。

いまの地球は病んでいるわ。そして、私たち人間は、その病を治すことができる医者だと思うの。でも、私たちは、治療の薬をあげることをずっと拒んできたのね。この「何もしない」ということは、私が一番恐れていること。地球はまだ健康体だから大丈夫という人もいるけど、この病気はとても深刻で、一刻も早く治療が必要。そして、できるだけ早くその治療薬をひろめて、一人ひとりが自分の手で地球を助けてあげられるようにしなきゃだめね。

そのためには、できるだけ環境に負荷をかけないライフスタイル送るマインドセット(心構え)も大切よ。今日や明日の「いま」の欲望を満たすための消費文化に身を置くんじゃなくて、目先の利益にとらわれない「脱短絡思考」で、長期的にみて本当に必要なモノ、コトを大事にしていくことね。

YouTubeを使って、THE 11 TH HOUR ACTIONの動画を世界中から募集している

たとえば、マグロの漁獲量が激減しているけど、これは、私たちが「いま」マグロをたくさん求めすぎてしまっているからだと思うの。「今日はマグロを腹いっぱい好きなだけ食べてもいいけど、明日からはもう食べられないよ」と言われた場合と、「毎日少しずつだけでいいなら、この先もマグロをずっと食べられるよ」と言われたら、あなたはどちらを選ぶ? どっちが本当に賢い選択かしら?。

地球の資源には限りがあって、地球の大きさは昔もいまも変わらないというのに、経済というのは厄介でね、ずっと成長をつづけてきたし、成長することがあたり前だと思われているの。でも、このまま人間が欲しいと思うものをすべて手に入れようとして、その結果いまよりもさらに経済が成長していったら、いつしか地球はその成長スピードについていけなくなって、人間はすべてを失ってしまうリスクがあるんじゃないか、とさえ思っているの。

― 日本は、サステナビリティを考えるうえで非常に参考になることが多いと、上映会後のディスカッションで言っていましたが、具体的にはどんなことでしょうか。

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日本は戦後、大量の森林伐採により一度は死んでしまった森に、再び木を植えて見事に再生させたと聞いているわ。この小さな島国には、そうした小さな自然、小さな緑を大切にする意識、八百万の神の精神が人々にあるからだと思うの。すべてのものに神が存在してると信じていれば、むやみに木を切ることはしないでしょ。

でも一度、自然を資源として、自由に使える人間の所有物とみなしてしまうと、もうそこに神の存在はないから、木を切ってしまうのね。先日、明治神宮に行ったんだけど、同じ大都会のなかにありながら、ここ(六本木のホテルでインタビューを実施)とはまったく違う空気が流れていたの。まさに神が宿っているような感じがしたわ。日本人には、そういうスピリチュアルなものが自然と文化に根付いているし、アメリカなんかよりずっと先進的な考えをもっているんだから、自信をもって世界にアピールするべきよ。

ー サステナブルな社会を実現するために、なにか実践されていることはありますか。

私は、東京と同じような大都市LAに住んでいて、子どもの送り迎えに車が必要だから車も仕方なく(笑)乗ってるの。一応プリウスだけど、本当は電気自動車にのって、脱石油100%!っていきたいんだけど、まだできていないのよね(笑)。

家では、買うものは化学物質が含まれている商品は避けて、食べものも地産地消でオーガニックにこだわっているの。でも、オーガニック食品は値段が高いのがネックよね。仕事のうえでは、tree mediaを通して、メディアがもつパワーを使って、たくさんの人に気づきを与え、意識を変えていきたいと思ってるの。

― 最後に日本のみなさんにメッセージをお願いします。

いま地球で何が起きているのか、そのことをまずたくさんの人に知ってほしいわ。そして、私自身も、いったい自分が何者であるのか、どこからきてどこへ行くのか、自分の存在意義と居場所を確認したいと思っているの。だって、本当の自分ってそんなに簡単に見つからないものだし、むしろ、ずっと探し続けていくものだと思うから。

そのために、「こうなりたい」、「こうありたい」って思う自分なりのビジョンを描くことが大切で、そのうえで、いまの自分にできる精一杯の正しい行動をすれば、自然と目指すべき道と未来が見えてくるんじゃないかな。現実に気づいて、一歩を踏み出すことでそこから未来が始まるのよ。それは、なにも人生にかぎったことだけじゃなくて、地球に対しても同じことよね。

何もしないんじゃなくて、いまできることをやるの。この地球の未来、私たちの未来をどうしたいか、どうあってほしいかを想像し、ビジョンを描いてみるの。そうしたら、あとは正しいと思う行動を起こして前へ進むだけ。そうすると、希望が見えてきて、案外人生楽しく生きていけるはずよ。

greenz/グリーンズ レイラ・コナーズ監督

Leila Conners Petersen
(レイラ・コナーズ・ピーターソン)

The 11th Hour 共同ディレクター、共同脚本家、プロデューサー、tree media group 創設者。New Perspectives Quarterly において国際政治や社会問題を専門とする編集者としてかかわったのち、tree media groupを設立。International Herald Tribune, Los Angeles Times, Le Monde及びWired等の媒体へ寄稿。

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ライター紹介
松原広美

松原広美(Hiromi MATSUBARA)。greenz.jp ファウンダー、コミュニティディレクター。株式会社ビオピオ取締役。千葉県浦安市出身。1978年生まれ。小学校時代をロンドン、大学1年間をマイアミで過ごす。大学卒業後、GE Capital (ゼネラルエレクトリック社の金融部門)にて「リーダーシップ開発育成プログラム」のトレーニーとして入社し、法人金融営業、マーケティング、広報、CSRのイベント企画、運営を経験。06年、NPO法人BeGood Cafeに転職し、「greenz.jp」の営業プロデューサーとして立ち上げにかかわる。その後独立し、07年グリーンズLLP設立、08年株式会社ビオピオ設立、代表取締役に就任。greenz.jp のお母さん的役として、組織の経営企画、営業戦略、海外渉外、環境や社会問題をテーマにしたイベントプロデュースを手がける。学生時代は、体育会系ウィンドサーファー、いまも毎週末のサーフィンは欠かせないほど海がライフスタイルの中心にある。だから、将来の夢は、「海辺のサステナブルコミュニティの村長!」を目指して。現在は半東京半房総の2地域居住を実践中。

個人ブログ:http://greenz.jp/hiromi