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インタビュー(前編): レオナルド・ディカプリオ制作の映画「THE 11TH HOUR」監督レイラ・コナーズ

松原広美 2008/08/28



写真:石渡史暁

環境問題を解決したいと思ったら、脱” ショートタームシンキング!(短絡的思考)”! 目先の利益にとらわれないことが大事

以前、greenzでも紹介した環境問題をテーマとしたドキュメンタリー映画「THE 11TH HOUR(ザ・イレブンス・アワー)」の日本プレミアム上映回が6月に行われた。

日本では、「興行収入が見込めない」という配給元の理由により、一般上映されないこととなったTHE 11TH HOURだが、確かにこの映画はレオナルド・ディカプリオ制作・出演作品でありながら、ハリウッド映画に見られるエンターテイメント性はないといっていいだろう。むしろ、一般の人にとってはその名前すら聞き覚えのない環境活動家が次々と登場し、淡々と語るシーンをつなぎあわせただけの映像作品に見えるかもしれない。

しかし、この映画が訴えている重要なメッセージを感じとったgreenz編集部は、上映会にあわせて来日した監督のレイラ・コナーズ・ピータソン(Leila Conners Petersen) に話を聞くことができた。全2回でお届けするインタビューの前編では、映画を通して見えてきた地球の危機、そしてその先にある私たち人類の未来についてお伝えしよう。

―まずはじめに、このようなドキュメンタリーを撮ろうと思ったきっかけを教えてください。

greenz/グリーンズ レイラ・コナーズ監督

もともと私は国際政治学が専門で、政治のポータルサイトの編集者をしていたんです。しかし、私がいた世界では、残念ながらメディアが本来社会に対して伝えるべき大事なスト―リーは語られず、メディアとしての社会的責任を果たしていなかった。

そこで、私は11年前にtree mediaというメディアを立ち上げ、誰も伝えようとしてこなかったさまざまな問題を伝えることによって、メディアがもつパワーで世界を変えよう!って思ったの。

以来、tree mediaでは、政治問題、人権問題、環境問題などについて取り上げてきたわ。だから3年前、レオ(レオナルド・ディカプリオ)が何かコラボレーションしようよ、と提案してくれたとき、ごく自然に、「じゃあレオナルドも出演して一緒に映画を作ろうよ!」という話になったんです。

そう、この映画はtree mediaが11年前から取り組んできた、「メディアや映像を通して世界を変える」というミッションの延長にあるもので、環境ドキュメンタリーを作るからエコセレブのレオに出演してもらおう、と思ったわけではないの。

さらに、The 11th Hourは、最新の科学的データによって地球温暖化という問題を提唱したアル・ゴア「不都合な真実」とよく比較されるんだけど、ちょっと違うアプローチになっているでしょ。

それは、この地球で起きているさまざまな環境問題を「地球温暖化」の問題がクローズアップされる10数年前からとり組み、警笛を鳴らしてきたバイオニア(Bioneer. *Bio-logical (生態学的に合理的であること)と Pioneer (先駆者)を組み合わせた造語)という、「人」にフォーカスした作品になっているから。つまり、この作品の主人公は登場してくれたバイオニアズ全員であり、一人ひとりがもつビジョンをつなげて、この地球の未来、人類の未来ををみんなで想像し、描いてみたらどうなるか、ってことやってみたかったのよ。

― 確かに、この映画は単に「環境危機」を訴えるのではなく、その原因をつくってしまった人間の「精神性の危機(spiritual crisis)」ついて多くのバイオニアが語っているようにも感じました。それがメッセージだったのでしょうか。

THE 11TH HOURの目的は、地球環境が直面している問題を正確に診断し、その治療法を見つけ出すことにあったの。じゃあ、その問題の原因とは何だったと思う?

それは、”Short Term Thinking”、人間の短絡的な思考よ。目先の利益を追い求めすぎるあまり(その結果、どんな悪影響が長期間にわたっておきようとも)、つい短期的にものごとを判断してしまうのね。その典型的な例が石油だと思うわ。現代社会は、すべて石油というエネルギーに依存した構造でデザインされ、成り立っているでしょ。

石油は近い将来枯渇すると言われているにもかかわらず、いまだに多くの人は石油がもたらす利益を享受し、石油依存を脱せずにいる。そして、その結果、至るところで社会のひずみ(石油価格の高騰、食糧危機、石油をめぐる紛争など)が生じはじめているというのに、次のステージに進もうとしない。気づこうとさえしないわ。

greenz/グリーンズ  THE11TH HOURS

 
映画のメッセージは、とてもシンプルなものなんです。私たちは、常に未来を想像し、予測し、長期的視野で「いま」の問題に取り組み、ものごとを考える必要があるの。技術はどんどん発達しているんだから再生可能エネルギーや環境負荷の低いテクノロジーを活用し、石油に頼らない社会のあり方、新しいパラダイムをデザインしていかないとだめね。

環境問題の原因を作り出したのが人間なら、その解決策も人間が見つけ出すことができるはずよ。人間がマインドセットを変えて、きちんとしたビジョンを描いて、ちゃんと行動にうつしていけば多くのことはきっと解決できるはずだと思わない?。

― 映画では、たくさんのバイオニアが登場しますね。それぞれが多様な原理に基づいて革新的、創造的且つエレガントな方法で環境、社会文化問題を解決するエコスゴイソリューションを提案していますが、一番印象的だったことはなんですか。

この映画は環境ドキュメンタリーだけど、全員が人類の滅亡危機を感じて話題にしていたことが印象的だったわ。でもよく考えてみると、人類は本当に滅亡の危機にあるかもしれない。だって、私たち人間は地球の上に住まわせてもらっているのに、地球とつながった生活をしていない。むしろ、地球を汚している生活をしている。私も間違いなくその一人ね。

たとえ人間が火星へロケットを飛ばせるほどの技術をもっていたとしても、みなが火星に住めるわけじゃない。私たちが生きるのも死ぬのも、やっぱりこれからも変わらずに地球の上なんです。だから、私たち自身が地球の一部であること、そのことに気がつくことが大事。そんなシンプルなことなのに、人間はそのことさえも忘れて、否定して、地球があたかも人間の所有物みたいにしてしまったのね。

でも本当は逆だと思うの。本当は、人間は地球に存在するたくさんの生命体のひとつに過ぎなくて、人間の生命力より地球の生命力の方がはるかに強いはず。そのことを表現している台詞が映画の最後にあって、私が一番好きな言葉でもあるんだけど、イロコイ族のチーフである Oren Lyonsがこう言うんです。

The Earth has all the time in the world.. And we don’t.(地球の時間はこの先も永遠に続くけど、人間に与えられた時間に永遠はない)

ね? まさにその通りだと思わない? 人間が住めないような環境になったとして、たとえ人類が滅亡してしまったとしても、地球はやがてまた元のように草木が茂り、緑豊かな星に再生すると思うわ。人間がいなくても、地球はこの広い宇宙のなかで変わらずに存在しつづけるでしょうね。 後編に続く

プロフィール

greenz/グリーンズ レイラ・コナーズ監督

Leila Conners Petersen
(レイラ・コナーズ・ピーターソン)

The 11th Hour 共同ディレクター、共同脚本家、プロデューサー、tree media group 設立者。New Perspectives Quarterly において国際政治や社会問題を専門とする編集者としてかかわったのち、tree media groupを設立。International Herald Tribune, Los Angeles Times, Le Monde及びWired等の媒体へ寄稿。

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ライター紹介
松原広美

松原広美(Hiromi MATSUBARA)。greenz.jp ファウンダー、コミュニティディレクター。株式会社ビオピオ取締役。千葉県浦安市出身。1978年生まれ。小学校時代をロンドン、大学1年間をマイアミで過ごす。大学卒業後、GE Capital (ゼネラルエレクトリック社の金融部門)にて「リーダーシップ開発育成プログラム」のトレーニーとして入社し、法人金融営業、マーケティング、広報、CSRのイベント企画、運営を経験。06年、NPO法人BeGood Cafeに転職し、「greenz.jp」の営業プロデューサーとして立ち上げにかかわる。その後独立し、07年グリーンズLLP設立、08年株式会社ビオピオ設立、代表取締役に就任。greenz.jp のお母さん的役として、組織の経営企画、営業戦略、海外渉外、環境や社会問題をテーマにしたイベントプロデュースを手がける。学生時代は、体育会系ウィンドサーファー、いまも毎週末のサーフィンは欠かせないほど海がライフスタイルの中心にある。だから、将来の夢は、「海辺のサステナブルコミュニティの村長!」を目指して。現在は半東京半房総の2地域居住を実践中。

個人ブログ:http://greenz.jp/hiromi