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【カンヌ広告祭2008から(6)】世界を見る目が変わる映像の力

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カンヌ特集、
最後は映像についてのフィルムライオンです。
昨年まではCMについての部門でしたが、
今年からはネットなどで配信される映像も
対象になっています。

まずはゴールドとブロンズを受賞した、
人種差別問題について考えさせる
マレーシアのコマーシャル。

ゴールドをとったのは、
「TAN HONG MING」というタイトルのもの。



黄色人種の男の子へのインタビュー。
好きな女の子がいるんだけど、
ないしょにしてるんだ。
彼女がどう思ってるか分からないからね。
と、男の子は恥ずかしそうに言います。

そのあと、黒人の女の子がやってきて、
ボーイフレンドがいる、その子は
隣にいる男の子、と突然の告白。
うれしさをこらえきれない男の子は、
そのまま女の子の手をとって
カメラから離れて行きます。

そして最後にこんなコピーが入ります。

“Our children are colour blind.
Shouldn’t we keep them that way?”

「子どもたちにとって、肌の色は関係ありません。
 そのままでいて欲しいと思いませんか。」
みたいな感じでしょうか。

ブロンズを受賞した「Race」もかわいいです。

人種の違う男の子ふたりを前に、
「dinosaurってどういうつづり?」と聞きます。
ふたりは元気よく(間違いながら)答えます。
続いて、二人は親友だよね、と確認したうえで、
「彼のrace(人種)知ってる?」と聞きます。
ところが男の子たちはピンときていない様子。
「Raceって何だろう?車のレースかなあ?」てな具合。

締めのコピーは「TAN HONG MING」と同じく、
“Our children are colour blind.
Shouldn’t we keep them that way?”

人種は、その人を判断する材料ではない。
当たり前のことなんだけど、見ていて
涙が出そうになるのは、このことが
とても大切だけど、ともすると忘れがちな
ことだからなのでしょう。

シルバーを受賞した「KILL THE GUN」は、
映像ならではの静かな説得力があります。

様々な物が弾丸によって砕けていく映像が続き、
最後に少年の頭が出てきます。
思わず目を覆ってしまう最後に、
弾丸が次のコピーに変わります。

「Stop the bullets.Kill the gun.」
(弾丸を止めて、銃を殺そう。)

たった1分の映像ですが、
一生忘れられないインパクトがありますね。
銃はオモチャであっても目にしたくなくなります。

同じくシルバーを獲った「Test」。

画面が二分割されていて、
同じ男の子をホームレスの格好をさせた状態と、
こぎれいな格好をさせた状態で比較しています。
左右の画面を見ていると、ホームレスのほうは
ほとんど無視、見て見ぬふりをされるんですね。

で、最後のコピーは
「Why are some children our problem
and some aren’t.」
(私たちが問題だと思う子どもと、
 そう思わない子どもがいるはなぜ?)

こういう実験形式の広告はこれまでも
ありましたが、この対比は露骨ですね。
自分たちが直視したくない現実を
見せられているようで、胸が痛みます。

最後はブロンズの「EXECUTION」。

●動画はこちらのページの右下の画像を
 クリックするとストリーミング再生されます。
http://www.sostav.ru/columns/goldendrum/2007/silverVideo/

軍隊が敵国の人間を捕え、
処刑しようとしたその瞬間、
上官から「待て」の声。
指差す方向を見ると、
スナックをほおばりながら、
処刑の瞬間をながめている少年が。
兵隊が「君は何してるんだ?」と聞くと、
少年は涼しい顔して「ネットサーフィン」と答えます。
コワいですね~。

いまやネットを勉強に使う子どもも
少なからずいるようですから、
この表現も大げさなものだとは言えません。

というわけで、
ざっと今年のカンヌのソーシャル広告を
振り返ってみたわけですが、いかがでしたか。

タレントが出てきて、当たり前のことを
大きな声で言って逃げるような(たった15秒で)
日本の広告とは考え方が全然違いますよね。

昨年と違いズバリ「環境」というものは
少なかったですが、よりテーマが細かくなって、
深いところに踏み込む広告が増えた印象があります。

世界的に見ればもはや環境のことを考えるのは
当たり前のことで、どう解決していくのか、
そういう段階に入っているのかも知れませんね。