『宇宙船地球号操縦マニュアル』

全地球的な視点をはじめて提示した古典的名著
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『宇宙船地球号操縦マニュアル』
バック・ミンスター・フラー 著
/芹沢高志 訳
ちくま学芸文庫 900円(税別)

フラーがこの本を著したのは1961年。考えてみると、20世紀の中頃まで人類は地球の姿を外からみたことはなかったわけで、人類がはじめて宇宙へと進出はじめる時期に、脱地球的思考のさきがけとなるメルクマールである。68年にアポロ宇宙船は人類がはじめて大気圏外から見る地球の画像を送ってきた。ひとが青年期に自我にめざめるように、人類は大気圏外から自らの姿を見ることによって、あらためて地球意識が目覚めたのかもしれない。その18ヶ月後に世界で初めてのグローバルな環境保護運動、アースデイがスタートするのだ。

惑星をひとつの閉じた宇宙船にたとえて、地球上の資源の有限性や、資源の適切な使用についての問題提起は、まさに今のわたしたちにむけられている。 水、食料、空気、エネルギー。すべてレッドランプが点滅している。人類が現在直面している環境問題そのものだ。

人類は今、何億年もの時間をかけてつくりあげた化石燃料をほんの数世紀で燃焼し尽くそうとしている。そして放出される温暖化ガスはかつてないほどのスピードで気候変動をひきおこしている。地表面にあるわずかな淡水資源は枯渇し、今世紀中に人類の三分の一がなんらかの水問題に直面するといわれている。フラーは自然には人間の生活に必要なものが十分用意されているという。そして「太陽から地球に注ぐエネルギー」こそが人類が活用すべき資源だという。わたしたちは与えられた太陽の恵みをもとに環境をデザインしていかなければならないとフラーは語る。

私たちは旅客機のサービスをただ一方的にうける乗客ではない。宇宙船地球号においては全員が乗務員なのだ。そして宇宙船地球号には操縦マニュアルは存在しない。環境の変動に注意をはらいながら、資源を消費する社会から、循環させる社会へ。自然を観察し、そこに学びながら、操縦法を習得していく必要がある。フラーの考え方は、わたしたちはよりよい世界をデザインすることができる、という強いメッセージなのだ。

この著作でバックミンスター・フラーに興味をもたれた方は、さらに「宇宙エコロジー」や「クリティカル・パスー人類の生存戦略と未来への戦略」などを読み進められるといい。より具体的に社会のあり方や、デザイン、建築、数学、科学にいたる包括的な思考法を学ぶことができるはずだ。

<プロフィール>
谷崎テトラ

(構成作家・音楽家。谷崎テトラオフィス代表。愛知県立芸術大学非常勤講師。)

BeGood Cafeのディレクターとして企画などにもかかわる。雑誌ソトコトの執筆やTOKYO FMハミングバードの構成ブレーンなど、サスティナブルなライフスタイル番組や企画を手がけている。地球温暖化防止レインボーパレードやアースデイなどの環境保護アクション、虹の祭りなどのムーブメントのコアのひとりとして活動。ポエトリーリーディングと音楽によるユニットVOID OV VOIDをはじめ、SUGIZO+TETRA、MU-TANZなど、自然音・環境音をとりこんだ音楽の制作・プロデユースもおこなっている。ちなみにペンネームの語源はバックミンスターフラーの宇宙絵本「テトラスクロール」から。

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