「母なる大自然」、丸の内

〜Nature Cafeと共に過ごした、7カ月の思い出〜
東京・丸ビルにおいて営業していた、マクロビオティック&オーガニックカフェ、Nature Cafe(ネイチャーカフェ)が、11月12日(日)をもって閉店しました。いつでも笑顔でキッチンをきりもりしていた、Nature Cafeの橋本が、熱い想いを語ります。

東京駅は、丸の内口に降り立って見るのがいい。

真っ白に化粧された天井壁面を見回せば、ところ狭しと辺りを埋め尽くす無数の案内サイン。そして何本、何十本と掛かる滝の如きエスカレーターからは、とめどなく人が溢れ出す風景をそこかしこに見る日本の大動脈の源泉、東京駅。

だがその足を少し駅の北側に向けてみると、どうだろう。

幾分古びたドームの姿下に広がる広場にひとたび足を踏み入れるや、先生の制止も待ちきれずに追いかけっこをする園児たちや手押し車をゆっくり押す老女が現れる。また、さつきの花が駅舎前にこぼれる頃にはツバメのヒナのさえずりが聞こえてくるかと思えば、海外からのビジネスマンやOLがさっそうと行き交っていたりもする。

やはり東京駅は、どこまでも尽きせぬ生命力に満ち溢れているに違いない。その滋味溢れる大地の豊かさなくしては、あれほどの巨塔も林立のしようがなかったであろうから。そして、なかでも丸の内は、人工と自然、クールとほんわかが混在しまくる、おもしろい土地だともいえる。

さて、我れらがNature Cafeは、その丸の内にある「丸の内ビルヂング」の北西角、丸の内仲通沿いの陽だまりに位置するところに居を得た。

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7カ月間、がんばってくれたクルマ

このNature Cafe、ご覧のようになんとも可愛らしい風情で、さらに後背の丸の内ビルヂング・マルキューブのスタイリッシュ感と相まって、絶妙な憩いの場として開業することとなった。おかげさまで春うららかなお昼どきから秋暮れなずむ今日このごろまで、多数の丸の内を行き交う人々に愛されたことは、誠に言葉に尽くせぬものがある。

そのNature Cafeではあるが、じつはNature Cafeは食べ物を提供するだけのお店であったとは、今も思っていない。

Nature Cafeの成り立ちはいかなるものであったのか、というと、まずは「マクロビオティック」ならびに「オーガニック」というキーワードを挙げることができる。

Nature Cafeで供される食材は、その調味料からスパイスにパン、それにコーンの一粒に至るまで、ひとつとして「マクロビオティック」「オーガニック」と違うものは取り扱ってこなかった。

人気メニューのうちのひとつ、ロイヤルビオティックカレー

商売上の話をすれば、いかにホットドッグやピタパンそれにカレーなどが主体のメニューとはいえ、原材料たるそれら食材は、通常の流通にて手に入る同材料と比べて決して安価とはいい難いものであった。さらに、やはりテイクアウト・スタイルである以上、その原価を単純に販売価格に上乗せするわけにもいかない。

そして一たびNature Cafeのまわりに目を向けると、有名飲食店の知られざる一大集積地と化しつつある。名だたる店舗のカジュアル・ブランドや新進気鋭の繁盛店などがのきを連ね、ある意味そこはジャンルを問わず、いま、日本を賑わせている料理界の名手たちが、キラ星の輝くごとく集う『丸の内コレクション』とでもいい得るような銀河系を形成している。

そこに来ての、Nature Cafe。味にも材料にも、自信はある。だが、それだけであれば、ほかにもいくらでも選択肢はあるはずである。でも、なぜそもそもそれほどに本職の並み居るど真んなかで、しかも競合多きカフェスタイルを貫徹したのかといえば、それが我々がいちばん提供したいと願ったものが、最も手触りを伴って多くの方々へと受け取って頂ける、と信じたからである。

ではそれは、何であったというのか。それはまた、次回、お話することにする。

Nature Cafe
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