遺伝子組み換え食品って? トゥルーフード・ガイド

グリーンピースが遺伝子組み換え食品を避けるためのガイドブック「トゥルーフード・ガイド」を発表した。
2006年9月29日、NPOグリーンピース・ジャパンは遺伝子組み換え食品を避けるためのガイドブック「トゥルーフード・ガイド」を発表、合わせて遺伝子組み換え原料を使っている、いない企業に対する賞の授与式が行われた。このガイドと授与式の様子をレポートしてきたので紹介しよう。

遺伝子組み換えってなによ?

「遺伝子組み換え」という言葉をご存じだろうか。一番身近な例では、納豆や豆腐などのパッケージに「大豆(遺伝子組み換えでない)」などと書いてあるアレである。この「遺伝子組み換え」とは、早い話が、人為的に遺伝子を導入して、自然界には存在しない生命体をつくる技術だ。すでにそうした遺伝子組み換え技術で作り出した作物や、その作物を原料として使った食品が、世界中で出回っている。ところが、それが本当に人体に安全かどうか、実のところ証明されていないのが現状だ。

食べなきゃいいじゃん!?

だとすれば、遺伝子組み換え原料を使った食品は食べなきゃいいじゃん!? と思うが、(ここ日本では)ことはそう単純じゃない。現在の日本の法律では、遺伝子組み換え原料の表示義務が非常にゆるいのだ。たとえば、油や醤油には、遺伝子組み換え原料を使っていても、そのように表示する義務がない。また、遺伝子組み換え原料の割合が5%以上でない限り、表示をしなくてよい食品として、大豆・トウモロコシ・ナタネを原料とした食品がある。さらに、5%未満であれば「遺伝子組み換えではありません」と表示することができるため、表示を見ながら買い物をしても、遺伝子組み換え食品を避けることはできないのだ。

そこで「トゥルーフード・ガイド」

そこで、「遺伝子組み換えでない」食品を選びたい消費者がそれを選べるように、とグリーンピース・ジャパンは「トゥルーフード・ガイド」の配布を開始し、同時にパソコン向けウェブサイトをオープンした。この小冊子は持ち歩ける小ささで、全国的に手に入りやすい商品を製造しているメーカー103社に対して、アンケートを実施し、遺伝子組み換え原料を使っていない商品については「グリーン」、遺伝子組み換え原料を使用しているか、していないと証明できないブランドには「レッド」の評価が付けられている。遺伝子組み換えの原料を使用した食品かどうかが一目でわかるようになっているのだ。「トゥルーフード・ガイド」は持ち歩けるサイズ。また「納豆」や「菓子類」などの食品の種類別で検索できるケータイ向けウェブサイトも用意されているので、スーパーやコンビニでいつでもガイドを見ながら買い物ができるというわけ!

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グリーンピースが発表した「トゥルーフード・ガイド」

なんと、世界中で200万部

この「トゥルーフード・ガイド」は日本では初めての発行だが、これまでに、ドイツ、イギリス、ギリシャ、チェコ共和国、ポーランド、オーストリア、ニュージーランド、カナダ、ブラジル、メキシコ、タイ、ロシアを含む20か国を越える国々で発行されている。少なくとも200万部が発行されたという。

「トゥルーフード賞」と「トゥルーフードに変わりま賞」

さて、この「トゥルーフード・ガイド」の発表記者会見と同時に、興味深い賞の授与式が行われた。グリーンピース・ジャパン事務局長星川淳によって、遺伝子組み換え原料を使用していない食品メーカー2社に対して「トゥルーフード賞」が、そして遺伝子組み換え原料を使用しているか、アンケートへの情報提供のなかった2社に対して、「トゥルーフードに変わりま賞」を授与したのだ。

まずは「トゥルーフード賞」。この「トゥルーフード・ガイド」のための調査過程で、遺伝子組み換え原料を使用しない方針を明確にもっている食品会社の中から地球環境に最も貢献していると判断した食品会社に贈られる賞だ。今回は株式会社ブルボン日清食品株式会社に贈られた。授与式に出席したブルボンの担当者は「遺伝子組み換え原料を使用した商品を販売してしまい、自主回収した5年前の失敗を契機に遺伝子組み換え食品は使用しないという方針の強化・徹底に努めてきた。今回は、このことが評価されたものと考えている」と語った。

トゥルーフード賞を授与される株式会社ブルボンの担当者
同じく、日清食品株式会社の担当者
生活クラブ事業連合生活共同組合連合会の担当者

また、「トゥルーフード特別賞」として、遺伝子組み換え原料を使わない食品を流通販売している「生活クラブ事業連合生活共同組合連合会」に賞が授与された。

そして「トゥルーフードに変わりま賞」として、「今後遺伝子組み換え原料をまったく使用せずに食品を製造していただきたいという願いを込めて」、カルビー株式会社東洋水産株式会社に賞が授与された。不名誉な賞にもかかわらず、カルビーからは担当者が出席、グリーンピース代表の星川淳より、賞が授与された。受賞スピーチにて「いろいろ疑問点があり、期日までに回答することができなかった。次回はコミュニケーションをしっかり取り、遺伝子組み換え原料を使用していないことを証明したい」と語った。

賞を授与されるカルビー株式会社担当者
不名誉なことにもかかわらず、出席したのはすごい

授賞式の後、トゥルーフード・ガイドの出版のために調査・編集を担当したアキコ・フリッド(グリーンピース・ジャパン)は、「調査の過程で、日本の食糧自給率は大変低いにもかかわらず、日本のフードメーカーが安全な原料の確保に努力をしていることを実感した」とコメントした。また、事務局長の星川淳は「たくさんの企業にご協力頂いた。これからも共に手を取り合い、安全で持続可能な社会をつくっていくため、努力していきたい」と語った。

授賞式の会場の様子
東洋水産の担当者は現れなかった。いいトロフィーなのに残念!

グリーンピースがちょっと違うぞ?

この記者会見、授与式でもっとも印象的だったのは、イベント全体が、とても友好的な雰囲気だったことだ。言い換えれば、企業や市民と共に社会を変えていこう、という雰囲気が感じられたのだ。グリーンピースは世間から「攻撃的」「反社会的」などの印象をもたれていないとはいえない。グリーンピース・ジャパンは現在、グリーンピース支部が存在する他の先進国中でももっとも会員数が少ないという(グリーンピースは政府、企業から一切寄付を受け付けず、市民の寄付、会員費などにより運営されている)。2005年12月に新事務局長に就任した星川淳は、「新事務局長、星川淳からのメッセージ」(2006年1月公開)でこう語っている。

「グリーン」(持続可能)で「ピース」(平和)な世界をめざして、これまで以上に効果的なキャンペーンを展開し、支持基盤を拡大するとともに、日本社会により深く根をおろす決意です

そのメッセージからも、グリーンピースが変わろう、変わっていこうとしていることがわかる。それを象徴するような場面が、授与式での一幕。読売新聞記者の「これで売り上げが伸びると期待しているか?」との質問に対して、日清食品の担当者は「期待していないといえば嘘になります。はじめは『グリーンピース』と聞いて怖かった。昨日、同僚には『無事に帰って来いよ』と言われた」と答え、会場が大爆笑したのだ。この「トゥルーフード・ガイド」発表記者会見と授賞式が企業を攻撃する目的で行われていたら、このようなコメントは決して飛び出さなかっただろう。グリーンピースの今後に期待である。

特定非営利活動法人グリーンピース・ジャパン
http://www.greenpeace.or.jp/info/index_html

『トゥルーフード・ガイド』
http://www.greenpeace.or.jp/campaign/gm/truefood/
グリーンピース・ジャパン遺伝子組み換え問題サイト
http://www.greenpeace.or.jp/campaign/gm/

トゥルーフード賞を受賞した2社
株式会社ブルボン
http://www.bourbon.co.jp/
日清食品株式会社
http://www.nissinfoods.co.jp/

「トゥルーフードに変わりま賞」を受賞した2社
カルビー株式会社
http://www.calbee.co.jp/index.php
東洋水産株式会社
http://www.maruchan.co.jp/