日本の宇宙開発と環境活動

日本の宇宙開発と環境活動

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先日、日本の宇宙開発の取材で、つくば市の宇宙開発センターに行ってきた。目的は宇宙航空研究開発機構(JAXA)の環境面での取り組み。

人工衛星「スプートニク」(旧ソビエト連邦)が人類史上初めて打ち上げられてから49年。宇宙開発は様々な目的のなかで文明の先端テクノロジーを駆使して行われてきた。

通信衛星、観測衛星、有人ロケット、宇宙ステーション…。私たちは日常の中でその恩恵を受けているわけだ。そして、日本でもJAXAがサスティナブル・ディベロップメント(持続可能な開発)をテーマに地球環境や資源問題など、アメリカやヨーロッパ諸国とは異なる視点で宇宙開発が行われている。

JAXAでは独自に開発した無人ロケットH2-Aにより、今年1月にはALOS(エーロス Advanced Land Observation Satellite陸域観測技術衛星・日本名愛称「だいち」)が打ち上げられた。また、世界初の地球温暖化ガス濃度を定常観測する衛星を目指し、08年に打ち上げが予定されている。なかでも注目は08年に打ち上げが予定される世界初の温室効果ガス観測技術衛星GOSAT(Greenhouse Gases Observing Satellite)だ。

二酸化炭素の観測は、世界各国で20年前から進められてきた。観測点は319地点。データは世界気象機関でまとめられ各国に配信される。しかし、現状では観測地の分布が偏っていること。更新頻度も1ヶ月に1回程度と少ないこと。地球温暖化は、スーパーコンピュータを使って分析を行っているが、その基となるデータの絶対量が少ないという。

また、地球全体で温暖化がどう進んでいるのか、おおよそにはわかるが、地域ごとにどう違うのか、海と陸、昼と夜ではどう違うのかなどの詳細はよくわかっていないという。GOSATの打ち上げが成功すれば、5万6千項目のデータが3日ごとに更新されて取れるようになり、従来のデータに比べて、情報量と精度に圧倒的な違いが出る。また、現状の319地点でのそれぞれ異なる観測方式に比べ、GOSATはひとつの物差しで地球全体を観測するため、地域間の誤差も少なくなくなると期待されていると、GOSATプロジェクトマネージャーの浜崎敬氏は言う。

21世紀の環境問題は、環境の悪化をビジュアル化することが非常に大切ではないか。その土地の住人なら、宅地造成で森林を伐採したら、鳥や昆虫がいなくなった、あるいは川が汚れて魚がいなくなった、というように実感として環境の変化に気がつくが、地球全体がどう変化しているかという全体像は、衛星のデータを基にして画像化・映像化した方が伝わりやすい。経済発展が目覚しい中国も今後、猛スピードで開発が進むはずだ。国土の広い中国の環境が悪化すると、その影響はアジア・太平洋地域の広い範囲に及ぶことが懸念される。対策が後手に回らないためにも、環境の変化をビジュアルとして提示することが大切なのではないだろうか。

陸域観測衛星ALOSに搭載したセンサーは、人間に例えるならば目であり、GOSATのセンサーは、耳や鼻。ALOSやGOSATで得られたデータを解析し、温暖化効果ガスがどこかで排出され、どこで吸収されているかを映像化することで、地球がまさに生き物のように呼吸をし、少しずつ姿を変えていく様子を、よりリアルに見ることができるわけだ。

環境問題は、まず現状を「把握」する。現状を正確に把握することで、「予測」が可能となり「対策」につながる。「把握」「予測」「対策」のステップを一段一段、確実に進めていくために、まさに神の視点とも言うべき観測衛星の客観的なデータは、今後さらに大きな意味をもたらすのではないだろうか。