『六ヶ所村ラプソディー』鎌仲監督トークショー

劇場でトークショーを開催。鎌仲監督と映画監督本橋成一さんの対談をレポート
「この映画を観たい」「知人に観せたい」そう心で感じた人たちが自主上映で公開を続けてきた『六ヶ所村ラプソディー』。東京のミニシアターで1ヶ月の劇場公開が始まった。今回は10月7日初日に行われた鎌仲監督と、映画監督本橋成一さんのトークショーをレポートする。

有志により、各地で上映会を続けてきた『六ヶ所村ラプソディー』。いよいよ劇場での公開が始まった。

公開期間は10月7日から11月3日。会場のポレポレ東中野では、期間中の毎週末、鎌仲ひとみ監督とゲストによるトークショーを開催している。

第1回のゲストは映画監督の本橋誠一さん。『アレクセイの泉』『ナージャの村』でチェルノブイリ原発事故後の人々の暮らしを見つめた本橋監督と、『ヒバクシャ』でイラクの劣化ウラン弾被害、アメリカの核兵器製造工場周辺での白血病やガン患者の増加などをレポートした鎌仲監督。

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ポレポレ東中野には会場前から列ができた

実際のヒバクの様子を肌で感じてきた二人の監督は映画上映後、日常生活の話などを交えながら、核燃料再処理工場の稼働している六ヶ所村について話を進めていった。

六ヶ所での出来事は各地域にもつながっていると語る鎌仲監督

鎌仲 撮影はまだ汚染の始まる前夜だったから、六ヶ所村に住んでいる普通の人は、国が自分達に放射能をかける訳がないと信じていました。だからしーんとしていて……

本橋 もう詳しいことがわからなくても、嫌だ、だめだ、やめようと言ってもいい頃なんじゃないかと思うんですよ。僕は自身ね。僕は朝の洗濯係なんです。お風呂の水を汲んで洗濯に使うんですけど、1回目、2回目はお風呂の水、3回目は水道水を入れるんです。なんだけど、時々間違って3回目もお風呂の残り湯を入れちゃうんですよ。これが洗濯だからいいんだけど、人間ってかなりあやふやなんですよね。核はね、そんな人間が扱うものじゃないと思うんですよ

鎌仲 原子力発電所も再処理工場も、人間がつくったパイプが1500キロくらいあって、バルブが20万個ついてるんです。時とともにゆるんだバルブを閉め直して、放射能溶液を捨てるのは人間なんですよ。チェルノブイリの時も逃げるしかなかった。その後放射線をプロテクトする装置が開発されたわけでもないんです。普通の服を3枚重ねていても放射能は通過するので、作業員は放射能を浴びてするしかない。人間は弱いもの。お金に弱いし、しがらみに弱いし、欲望に弱い。六ヶ所村に差し出された選択肢は放射能汚染と共に生きるか、それとも経済破綻かだったんです。安全だというのを100パーセント信じている訳ではないけど、そういう風に追い込まれた時、放射能と生きることを選ぶしかなかったんですよ

本橋 僕が鎌仲さんの映画を観ていいなと思うのは、反対だという強い人間だけでなく、弱い人間を当たり前に、同等に描いているところです

鎌仲「これと一緒に生きていくしかないんだと思っている方が現実的なんです。六ヶ所村に立つと村の真ん中に、巨大な2兆2千億円の建物が建っています。これを見て反対するなんて、馬鹿じゃないのかといわれるんですよ。これを見て反対できる心根が奇跡なんですよ。だから菊川さん(核のないチューリップの似合う六ヶ所村をつくりたいと活動を続けている)は奇跡的なんですよ

本橋監督「もういらないと言っていいんじゃないか?」

開場前から並ぶなど、劇場には熱心な観客が詰めかけ、トークショーの後には監督と話したいという人の待つ列ができた。

映画は観た人のもの。そしてエネルギー問題についてもひとりひとりが様々な意見を持っていることだろう。なので今、この映画について批評することはしないでおきたい。ただ映画を観ている時、私におこったことを伝えさせて欲しい。

「がんばってねー」と、田んぼをかき混ぜながら苗に話しかける。「県は農業を推進するって言ってるけど、原子力と両立はできない」そうつぶやきながら真っ赤なトマトを子どもたちに届ける。大きく広がった空の下で、黙々とチューリップを植えていく。どこにでもある当たり前の生活。村の人の、子どものようにきらきらと目を輝かせる姿に、ただ、涙が流れた。

詳細は

公式サイト
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「六ヶ所村ラプソディー」より 写真提供:グループ現代

ポレポレ東中野劇場公開情報
http://www.rokkasho-rhapsody.com/pole2.html