安心野菜サミット開催!

人と環境に優しい野菜について考えた〜BeGood Cafe Vol.93
今、身体と環境に優しい野菜が注目されている。9月10日(日)に開催されたBeGood Cafeでは、いいお野菜を広めているゲストの方々に有機野菜の今とこれからについてお話を伺った。

SMILE ワークショップ
ゲスト:遠藤喨及さん

遠藤さんは東京・中野でタオ指圧の施術を行っている。「タオ」とは「道、経路」という意味で、ただツボを指圧するだけではなく、気が通る道(経路)を良くして、体調不良を施術するのだそうだ。

「心ってなんだろうっていう体験をしていただきます」。指圧のワークショップかと思いきや、なんだか様子が違う。まず、ペアを組み、一方の人が“誰かのためになる”ポジティブな心を強くもつ。「『未来の地球のために、人類のために、もう大地を汚染しない野菜をつくります』と思ってください」。そして、もう一方の人がそのポジティブな心をもった人の片足を持ち上げる。

これが面白いことに、持ち上げようとする足は根っこでも生えているのかと思うほど、ずしりとして、重い。なかなか動かない。今度は、ネガティブな心で、同じことをやってみる。「農業もビジネスだから、野菜も効率よく作らなくちゃ」。ところが、さっきまであんなに重かった足が、いとも簡単にひょいと持ち上がってしまった。

「どうしてこのような現象がおきるのかというと、ポジティブな思いを自分以外の他者に対して抱いたときに、私たちは健康になれる。だから、他者のためにポジティブな気持ちをもって、どうぞ元気になってください」

Green Rock
ゲスト:HANAHさん

父親はジャズギタリスト岩見淳三、母親はジャズボーカリスト、姉はR&Bシンガーソングライターという環境に神奈川県で生まれ育つ。綾戸智絵、MISIAのコーラスを経験し、さまざまな国内外実力派アーティストとセッションを重ねている。精力的に楽曲を作りライブを行っている。

HANAHさんのブログ
http://hanah.exblog.jp/

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遠藤喨及さん
HANAHさん

『遺伝子組み換えの現状』
ゲスト:星川淳さん(グリンピース・ジャパン事務局長)

    
今回のテーマ「安心野菜」にちなんで、グリンピース・ジャパンからゲストをお招きし、遺伝子組み換え食品についてお話を伺った。

「実は、日本の食べ物の中に遺伝子組み換えは入りこんでいます。もうすでに危ない状況にあることを前提にお話します。まず、遺伝子組み換えでどんなものがあるかと言うと、“アメリカ産の大豆”“アメリカ産のとうもろこし”“カナダ産の菜種”“アメリカ産のコットン”の4つです。どの食品も除草剤をかけても枯れないように遺伝子組み換えがされています。大豆の場合は96%が輸入に頼っていますが、そのうち75%がアメリカ産。アメリカ産の80%が遺伝子組み換えですので、日本に入ってくる大豆の4割が遺伝子組み換えになります。つまり、よっぽど気をつけなければ、食べてしまう状況にあるわけです。90年代半ばから遺伝子組み換え食品が多くでき、世界中のあちこちで始まりました。グリンピースは世界中に40ほど支部があり、いろいろな場所で活動していますが、遺伝子組み換え食品に対しては最初から反対でした」

スーパーなどで売られている豆腐などには遺伝子組み換えの表示はないが、果たして安全と言えるのだろうか?

「たとえば、ヨーロッパでは表示に対して厳しく、意図せざる遺伝子組み換えの混入の許容値が0.5%に対し、日本では5%。そのうえ、上位3位までしか表示しなくてもいいし、“醤油”や“油”など加工したものに関してはまったく表示しなくてもいい。意図せざる混入というのは、流通の段階で混じっちゃうことなんですが、本当はそういうのも表示するべきなんですよね」

そのような状況の中で消費者はどのようなアクションを起こせばいいのだろうか?

「商品の場合、“モノを買う”ということが投票になりますから、消費者が選ぶということが大切です。不要なものは買わないとか、「買わない!」と声をあげるとか。“売れない”という状態にもっていくのです。そのためには、GMフリーな世界が広がればいいと思います。GMフリーとは、顔の見える人たちが作ったものを食べる、顔の見える人たちに提供する、そして、消費者は自分でも作る。そういうのが持続可能な世界につながっていくのです。そのために、一人ひとりが商品を選び、今どういう状態なのかを知ることが大切です」

「グリーンピース・ジャパンでは消費者ガイドを制作しました。『True Food Guide』です。これは食品を“グリーン”と“レッド”に色分けし、グリーンは安心、レッドは安心かどうかわからない、という意味が含まれています。小さいサイズにして、買い物の際に持って行けるように作ってあります。このガイドブックを武器に、本当に大丈夫なのかを知ること、商品を選択するきっかけとして出しました。これは第1号ですが、どんどん更新していきます。消費者の方が『レッドになってるけど、なんとかなりませんか?』と訴えていくことで、GMフリー市場を作っていこうと思っています。話題になれば変化のきっかけになりますから。よくわかんないなぁと思ったら、遠慮せずに、食品会社に問い合わせるとか直接言っていくのが大切なんです。96%が輸入に頼っているなんてさびしいじゃないですか。いろいろなものを日本でつくりましょう。安心して食べられるものを日本で作っていきましょう。そういうキャンペーンです」

グリンピースの星川さんとアキコさん
「3年でGMフリーにしましょう!」と星川さん

ビーグッドTALK-1

ゲスト:石井吉彦さん(有限会社ナチュラルシードネットワーク代表取締役)
石井さんは生産者や生産者団体と共に、農地作りを原種・農地作り・種子を通した全世界の原種ネットワーク作りを推進している。

「私はもともと自然食の流通をしていましたが、無農薬野菜をお売りしたお客様から『アトピーが出た』と言われたんです。農薬も使っていないのにと ものすごくショックでした。何が違うんだろうと考えたときに、“種”からこだわらないとダメだなと気づきました。そこで、種のことを扱う団体になろうと考えたんです。みんなが“ナチュラルシード”を会社名でも団体名でもなく、“在来種を食べる”という意味に捉え、在来種を食べることが広がっていけばと思っています」

ゲスト:小野敏明さん(夢市場株式会社代表取締役社長)
「愛と有機を食卓に」という思いで、「どこで採れた野菜なのか、誰がどんな方法で作ったのか」、安全で身元のはっきりとした素材と食材を、店舗、卸、開発、宅配を通して販売している。

「北海道から沖縄まで1000件くらいおつき合いさせて頂いている農家があります。そこで採れる野菜を流通として私たちが紹介していく。私は『オーガニック栄えて日本の農業滅ぶ』と思っているんです。有機認証制度自体がグローバルスタンダードで、日本の狭い国土で、なおかつ雨が多い風土の中ではなかなか難しい。日本の有機野菜の85%は輸入です。さきほどもありましたが、納豆や豆腐もその原料の多くが輸入のものを使っているんです。オーガニックが栄えても日本の農業が滅んでしまえば、なんのためにやっているのかわかりません。だから、私どもでは安全でおいしく「国産」のものをまず第一に取り上げています。百貨店やスーパーでも有機に取り組んでいますが、安全でおいしくて安いという戦いになったら、日本の農業は滅んでしまいますから」

石井さん
小野さん

ゲスト:河名秀郷(有限会社ナチュラル・ハーモニー代表)
農薬も有機肥料も使わない有機野菜よりも質の高い自然野菜を販売している。

「病気や野菜につく虫の原因は、実は“肥料”にあったんです。え〜っ! ですよね。それは私たちが肥料で野菜が育っていると思っているからです。野山を見たとき、なぜ2000年も植物は自然に育っているのか。肥料も使ってないのに、なぜ秋になれば庭に柿がなるのか? なぜか、人間が肥料を使って育てた柿は病気になったり、虫がついたりする。私どもでは20年間肥料を一切入れないで野菜を育てています。土の匂いもしなければ、ミミズもいない。有機物がほとんどないのに生えてくる。これは農業革命かなぁと思っています。肥料がなければ種は自分で強くなっていく。虫なんかに負けない強さが戻ってくる。これって、とても難しそうに思うかもしれませんが、トマトなんかを土の中に埋めちゃうだけ。そして、芽吹いてきて、この芽吹いた中で生き残ったものがまたトマトを生やすんです。その繰り返し。自然界の多種多様な中でバランスを保って、本来の食べ物の姿を種の世界から追って、日本の農業や食品メーカーを動かしていこうと考えています」

ゲスト:長谷川満さん(大地を守る会事務局長)
1975年に発足して以来、オーガニック宅配の老舗「大地宅配」を運営している。

「31年目を迎える大地を守る会ですが、最初は素人が6人ぐらい集まりまして、とにかく農薬を使わずにどうやって育てていくかということを農家さんと相談しながら、消費者さんもそこに加わって始めました。現在、取引している農家さんが2500人、消費者さんが7000人おります。今は非常にこだわりというものがでてきていると思います。種を大事にして、昔ながらの生活をしていた岩手県のおじいさんが95歳で亡くなったんですが、その人の名を借りて、自家栽培の野菜を会員の中で作っていく予定です」

河名さん
長谷川さん

ビーグッドTALK-2
クロストーク『安心野菜とは』

ビーグッドTALK-1に登場した5人のゲストが、来場者などの質問に答えながら、「安心野菜」についてそれぞれの思いを語る。

質問:時間をかけた安心な野菜を作る効率的な農業をしなければ、世界中の人々に食べ物を届けられないと思いますが……。

河名さん:物事を考えるときに、短期的見方、中期的見方、長期的見方というのが必要になると思います。たとえば、われわれが戦後まもないころ、科学肥料に救われたことは事実。地域地域で必要なものは違うと思うんです。化学肥料が必要な地域もある。でも、そういう時期を過ぎたときに、そのまま来ちゃったのが日本だと思うんです。それと、世界に食料が足りないということはないけれども、“流通”“分配”の仕方が悪いために行き渡っていないだけなんです。それは公平性の問題。

質問:ナチュラルハーモニーの河名さんのところでは、“有機栽培”ではなく、肥料を使わない“自然栽培”を利用されていますが、その認知度は広がってきているのでしょうか?

河名さん:微妙な化学物質に反応し、呼吸困難になったり、アレルギー反応を起こすような方が数十万人いらっしゃいますが、その方たちにとっては、有機野菜でも一般野菜に劣るものが山ほどある。そういう方たちにとっては、自然栽培のものはニーズは多くなっています。有機野菜の問題は肥料にあります。有機野菜で使われる畜産の肥料には山ほど抗生物質が入っているからです。また、昔の人は3〜5年かけて作った肥料を、今はバイオテクノロジーで3か月で作ってしまう。本来3年かけるところを3か月! 有機野菜にはそういう肥料が使われているのです。だから、有機野菜もじっくり時間をかけた肥料を使えばいいと思います。

それぞれの立場から貴重な提言が聞けた
メモをとる、ビデオをとる、熱心に聞き入る来場者たち

質問:消費者は安全な野菜をどう見極めればいいのでしょうか。

長谷川さん:使っていい農薬と使ってはいけない農薬があるが、そういったことを分析をするのが安心・安全につながる。消費者がそういうレベルの高いところにいてくれればいいと思う。

河名さん:その道のプロの人に聞くといいと思うんです。スーパーではなくて、八百屋さん。「この種はいいんですか?」「肥料の熟成期間はどれだけですか」とか。それ以外にも、いくつかヒントがあります。たとえば、葉ものの場合、なるべく青くないもので、重いものを選ぶ。手の上においてズシっとくるものです。ゆっくり育つと野菜は重くなるんです。それと、無農薬だから安全、というのは危険です。

石井さん:そのままの味で食べてもらって、苦味や渋みがあったらおかしい。食べ終わって、何も残らなければいいけど、何か残る場合はおかしい。農薬かもしれない。それでもって、自分の中に基準を作ってください。食べ慣れてない人は、有機野菜よりも普通の野菜の方がおいしいと感じてしまう。だから、食べ慣れないとダメなんです。

アキコ・フリッドさん(グリンピース):「アミノ酸」などの表記があったら要注意。化学調味料が入ったものをあんまり食べ続けていると味覚が麻痺してきます。自分の感覚とお友達になってください。

質問:安全な野菜というのは値段がかなり高いように思いますが……。

河名さん:大根だったら、30坪に6000本植えるのが一般的です。つまり1本100円で売れば60万円の儲けになるわけです。けれども、安全な野菜を作るには、4000本ぐらいが本当ではないかと思っています。だから、少し高くても適正をつけているつもりなんです。それをスタンダードと考えてもらって、あまりに安いものは逆に危ないんじゃないかという見方をしてくれればいいんじゃないでしょうか。

アキコ・フリッドさん:私はあえて高くても安全なものを買ってるんです。ヘンなものを安いからと買って、病気になったらいやじゃないですか。その辺を考えて買い物をすれば高くはないと思います。

「野菜」という身近なテーマで大いに盛り上がったBeGood Cafe Vol.93。日ごろ、食べるものに対してどれほど無防備で、どれだけ危険にさらされているかを心底実感、無性に怖くなった。「安心野菜」と一言に言っても、ゲストの方たちそれぞれの立場で、さまざまな意見が飛び交っていたのも興味深い。「安心野菜」として市場に出ているものの中から、さらに安心な野菜を、自らの舌と知識で吟味していくことが必要なのかもしれない。